AI(人工知能)技術分野でNVIDIA製のGPUやツールの採用が相次いでいる。こうした状況に対抗するため、競合ベンダーが“ある策”に打って出た。
GPU(グラフィックス処理装置)ベンダーのNVIDIAは、人工知能(AI)技術分野における半導体市場で、際立った存在感を放っている。同社の開発者向けツール群「CUDA」はAI開発者に広く採用され、テキストや画像などを自動生成する「生成AI」(ジェネレーティブAI)市場においても、同社の製品・サービスの利用が広がっている。
しかし生成AI市場が拡大するにつれて、ハードウェアとソフトウェアの両市場でさらなる競争を望む声が出ている。そうした中でIntelをはじめとした競合ベンダーは、業界団体「Unified Acceleration Foundation」(以下、UXL Foundation)を設立した。NVIDIAにどう対抗しようとしているのか。
AI人気とGPU需要に「待った」 ハードウェア調達に起きた“ある変化”
AMD「NVIDIAに勝つ」は大げさではない? 攻めに出るGPU“永遠の二番手”
UXL Foundationは業界団体Linux Foundationの下部組織で、加盟企業にはArm、Intel、Qualcomm Technologies、Samsung Electronics、VMware、富士通などが名を連ねている。UXL FoundationはCPU(中央演算装置)やGPU(グラフィックス処理装置)のエコシステム(複数の企業による共存共栄の仕組み)を、オープンソースソフトウェア(OSS)とオープンスタンダード(相互運用性を確保するための標準仕様)によって構築することを目標としている。
NVIDIAが提供するCUDAは、開発したプログラムを基本的に同社のGPUで動かすことを前提にしている。UXL Foundationの加盟ベンダーは、開発者が特定のアーキテクチャでアプリケーションを開発せざるを得なくなると主張している。
「OSSおよびオープンスタンダードであるツールを選ぶことで、開発者はアプリケーションのソースコードを書く際にコンパイル(実行可能ファイルへの変換)対象のGPUを意識する必要がなくなる」。UXL Foundationの運営委員会のメンバーであるロッド・バーンズ氏はそう述べる。
UXL Foundationはオープンスタンダード(相互運用性を確保するための標準仕様)なツールの普及を掲げており、その先駆けとしてIntelの「oneAPI」の取り組みを発展させようとしている。oneAPIはIntelが進めているプロジェクトおよびオープンソースソフトウェア(OSS)の開発者向けツール群の名称だ。同団体は、oneAPIが、ヘテロジニアス(異種混合)なアーキテクチャによるAIアプリケーションを開発する足掛かりになると主張している。
UXL Foundationの戦略はNVIDIAの支配的地位を崩す点にあるように見えるが、複数の業界の専門家によると、重要なのはより多くの選択肢を市場に提供することだという。
「市場は拡大を続けており、NVIDIAができることには限りがある」と、アナリストのマーク・ベキュー氏は述べる。NVIDIAは、さまざまな目的に沿ったGPUをいち早く開発したことで製品供給を拡大した。ライバルのIntelやAMD(Advanced Micro Devices)は、容易には遅れを取り戻せない状況に置かれている。
次回はオープンソースによって市場を活性化させようとする取り組みについて解説する。
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