GPU市場で急速な成長を遂げてきた半導体ベンダーがNVIDIAだ。GPU市場でNVIDIAが支配的な影響力を持ちつつある状況に対して、競合のIntelやAMDはどう対処しようとしているのか。
IntelやAMD(Advanced Micro Devices)などの半導体ベンダーは、AI(人工知能)市場でNVIDIAに対抗しようと攻勢を続けている。IntelやAMDは、NVIDIAが急速な成長を続けてきたGPU(グラフィックス処理装置)市場でシェアを奪えるのか。業界の専門家は、IntelやAMDの“ある戦略”が鍵になると指摘する。
Intelは2024年4月9日(現地時間)、AIアクセラレーター「Gaudi 3」を発表した。同製品はAIアプリケーション向けに設計されたNVIDIAのGPU「NVIDIA H100 Tensor Core GPU」に対抗する製品だ。同社は、生成AIアプリケーションの用途を想定した、企業向けのCPU「Intel Xeon 6 Processors」も発表した。
Intelは、AIプロセッサ市場でNVIDIAに対抗しながら、ベンダーロックインを回避したいユーザー企業を支援する姿勢を維持している。2023年9月に同社は、ArmやQualcomm Technologiesなどの半導体ベンダーと共に、異なるプロセッサ間でのソフトウェアの互換性の実現を目指す業界団体「Unified Acceleration Foundation」(UXL)を設立した。UXLはAIプロセッサを求める企業のGPUのベンダーロックイン依存状態を低減し、選択肢を提供することを目的としている。
UXLの設立の背景には、NVIDIAの開発者向けツール群「CUDA」の普及がある。NVIDIAがGPU市場で支配的な地位を獲得するに至った背景には、他のベンダーに先駆けてGPU向けの開発ツールであるCUDAを提供したことがある。
IT調査会社Technology Business Researchのアナリスト、ベン・カーボンノー氏によると、CUDAを使っているユーザー企業ではある問題が生じている。「CUDAのプロプライエタリ(ソースコード非公開の商用製品)という性質は、ベンダーロックインのリスクを生じさせ、拡張性の妨げになりかねない」と、カーボンノー氏は説明する。
AMDは、ソフトウェア開発用のツール群「ROCm」を提供している。同社はCUDAで開発したアプリケーションのソースコードを移植して、ROCmでも実行できる機能を開発者に提供している。「マルチベンダー(複数ベンダーの製品を併用すること)を前提にしたツールの提供は、単一ベンダーによるユーザーの囲い込みを防ぐ効果がある」とカーボンノー氏は解説する。
後編はGaudi 3の性能とIntelのGPU戦略を解説する。
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