半導体ベンダー連合であるUXL Foundationは、“オープンなツール”の開発と普及によってNVIDIAに対抗しようとしている。どこに勝機を見いだしているのか。
AI(人工知能)技術市場において、GPU(グラフィックス処理装置)ベンダーNVIDIAの存在感が大きくなっている。そうした中でArmやIntel、Qualcomm Technologiesといった半導体ベンダーが結集して「Unified Acceleration Foundation」(以下、UXL Foundation)を設立した。
UXL Foundationは、オープンソースソフトウェア(OSS)とオープンスタンダード(相互運用性を確保するための標準仕様)のアプローチを通じてGPUをはじめとしたプロセッサのエコシステム(複数の企業による共存共栄の仕組み)を生み出そうとしている。同団体が“オープンソース”で勝負するのはなぜなのか。
AI人気とGPU需要に「待った」 ハードウェア調達に起きた“ある変化”
AMD「NVIDIAに勝つ」は大げさではない? 攻めに出るGPU“永遠の二番手”
NVIDIAの開発者向けツール群「CUDA」は、開発するプログラムを同社のGPUで動かすことを前提にしている。それに対して、UXL Foundationは、ベンダーに依存しないツールを開発し、普及させようとしている。
「以前はGPUのベンダーが幾つもあり、特定のソフトウェアに縛られないようにする必要性がなかった」と、アナリストのマーク・ベキュー氏は指摘する。UXL Foundationの結成により、オープンスタンダードを構築するための仕組みが生まれた。
UXL Foundation が普及させようとしている「oneAPI」は、市場に新たな選択肢をもたらす可能性がある。oneAPIは、Intelが進めているプロジェクトおよびOSSの開発者向けツール群の名称だ。
「エコシステムの多様化は、競争の促進に役立つとともに、AI技術を採用する企業により多くの選択肢をもたらすことになる」と、調査会社The Futurum Groupのアナリストであるオリビエ・ブシャール氏は語る。
2023年にUXL Foundationが設立されたことは、OSSの台頭と成長を裏付ける事象でもある。「他のOSSの取り組みが成功を収めている。UXL Foundationはそうした先例に倣おうとしている」。調査会社Forrester Researchでシニアアナリストを務めるアルビン・グエン氏はそう話す。
OSSは、ほとんどのベンダーにとって有益なものとなっている。テキストや画像などを自動生成するAI技術「生成AI」(ジェネレーティブAI)市場にとって、オープンで競争の盛んな市場は歓迎すべきものだと言える。
調査会社The Futurum Groupのアナリストであるオリビエ・ブシャール氏は次のように述べる。「競争が激しくなることでイノベーションが促進される。NVIDIAに対して、より速く、質の高いイノベーションを実現するよう促すプレッシャーが掛かることもメリットだ」
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。