Intel連合、「オープンソース」でNVIDIAに勝てるのか?AI半導体ベンダーの追撃【後編】

半導体ベンダー連合であるUXL Foundationは、“オープンなツール”の開発と普及によってNVIDIAに対抗しようとしている。どこに勝機を見いだしているのか。

2024年05月16日 08時00分 公開
[Esther AjaoTechTarget]

 AI(人工知能)技術市場において、GPU(グラフィックス処理装置)ベンダーNVIDIAの存在感が大きくなっている。そうした中でArmやIntel、Qualcomm Technologiesといった半導体ベンダーが結集して「Unified Acceleration Foundation」(以下、UXL Foundation)を設立した。

 UXL Foundationは、オープンソースソフトウェア(OSS)とオープンスタンダード(相互運用性を確保するための標準仕様)のアプローチを通じてGPUをはじめとしたプロセッサのエコシステム(複数の企業による共存共栄の仕組み)を生み出そうとしている。同団体が“オープンソース”で勝負するのはなぜなのか。

Intel連合が見込んだ「オープンソース」の勝機

 NVIDIAの開発者向けツール群「CUDA」は、開発するプログラムを同社のGPUで動かすことを前提にしている。それに対して、UXL Foundationは、ベンダーに依存しないツールを開発し、普及させようとしている。

 「以前はGPUのベンダーが幾つもあり、特定のソフトウェアに縛られないようにする必要性がなかった」と、アナリストのマーク・ベキュー氏は指摘する。UXL Foundationの結成により、オープンスタンダードを構築するための仕組みが生まれた。

 UXL Foundation が普及させようとしている「oneAPI」は、市場に新たな選択肢をもたらす可能性がある。oneAPIは、Intelが進めているプロジェクトおよびOSSの開発者向けツール群の名称だ。

 「エコシステムの多様化は、競争の促進に役立つとともに、AI技術を採用する企業により多くの選択肢をもたらすことになる」と、調査会社The Futurum Groupのアナリストであるオリビエ・ブシャール氏は語る。

なぜOSSなのか

 2023年にUXL Foundationが設立されたことは、OSSの台頭と成長を裏付ける事象でもある。「他のOSSの取り組みが成功を収めている。UXL Foundationはそうした先例に倣おうとしている」。調査会社Forrester Researchでシニアアナリストを務めるアルビン・グエン氏はそう話す。

 OSSは、ほとんどのベンダーにとって有益なものとなっている。テキストや画像などを自動生成するAI技術「生成AI」(ジェネレーティブAI)市場にとって、オープンで競争の盛んな市場は歓迎すべきものだと言える。

 調査会社The Futurum Groupのアナリストであるオリビエ・ブシャール氏は次のように述べる。「競争が激しくなることでイノベーションが促進される。NVIDIAに対して、より速く、質の高いイノベーションを実現するよう促すプレッシャーが掛かることもメリットだ」

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