赤字のIntel、「売れないAI半導体」だけではない不振の理由半導体ライバルとは対照的に【後編】

Intelの業績不振が続いている。データセンター分野ではAI(人工知能)技術関連のニーズが拡大する中で、なぜ同社の業績は低迷しているのか。その原因はどこにあるのか。

2024年11月04日 07時00分 公開
[Antone GonsalvesTechTarget]

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 半導体ベンダーIntelの業績が低迷している。同社の2024年第3四半期(2024年7〜9月期)の業績は約166億ドルの赤字だった。受託製造(ファウンドリー)などを含めて事業を多角的にしてきた同社。データセンター分野ではAI(人工知能)技術関連のニーズが拡大する中、同社の事業は何が振るわないのか。

赤字のIntel、不振の理由とは?

 Intelの2024年第3四半期の業績は、売上高が約133億ドルで前年同期の比で約6%の減収となった。業績が振るわない中でも、好材料となったのは、2024年第3四半期におけるデータセンターとAI部門の売上高が約33億ドルで、前年同期比で9%増となった点だ。これは従来の企業アプリケーションを実行するためのCPUの販売がけん引したものだと考えられる。

 Intelは、AI技術用の計算処理を担うAIアクセラレーター「Intel Gaudi」(以下、Gaudi)シリーズによって生成AIアプリケーションの需要を取り込み、データセンター分野の事業を成長させたいと考えている。同社はGaudiについて、推論において競合他社のAI向けプロセッサ製品よりもコスト効率に優れるものになると見込んでいる。

 だが現状、Intelが2024年に投入した「Intel Gaudi 3」(以下、Gaudi 3)の売れ行きは想定を下回っているようだ。同社のCEOパット・ゲルシンガー氏は、2024年におけるGaudi 3の収益目標を達成できない見込みだと説明した。AI技術向けのGPU(グラフィックス処理装置)で売上高を伸ばすNVIDIAとは対照的な状況だ。

 ただし今後の売れ行きはまだ分からない。生成AIの市場は、今後数年で飛躍的に拡大する可能性を秘めている。同社のCEOパット・ゲルシンガー氏は業績発表において「市場はわれわれの方へと向かってきている」と述べた。

 調査会社The Futurum Groupで主任アナリストを務めるデビッド・ニコルソン氏は、ゲルシンガー氏の見方に同意する。「IntelのGaudiとデータセンター向けCPU『Intel Xeon』は、市場の方向性と合致している」

 ただしIntelが復活するには、事業の整理をしていかなければならない可能性がある。「事業が縮小された末に、持続可能で堅実なビジネスが見えてくるはずだ」とニコルソン氏は語る。同氏が懸念しているのは、赤字の工場だ。同氏は、Intelがファウンドリー事業をスピンアウトして、資金を半導体の設計のために解放すべきだと指摘する。「それは他の事業が存続するために必要な選択」だと同氏はみる。

 そうした見方は、ゲルシンガー氏のファウンドリーに対する見方とは異なる。ゲルシンガー氏の再建計画は、「半導体の設計者や競合他社のためにプロセッサを製造する」ということに依存するものになるとみられる。

 Intelの2024年第3四半期におけるファウンドリー事業の売上高は、約44億ドルで前年同期比では8%の減少だった。ゲルシンガー氏は「ファウンドリー事業が今後数年間で大幅に改善することはないとみている」と述べた。

 2025年前半に、Intelは「Intel 18A」(以下、18A)と呼ぶ先進的な製造プロセスを使用して半導体製品の製造を始める計画だ。一部のアナリストは、18Aが最終的により多くのチップ設計者を引き付ける存在になると期待を掛けている。

 Intelの業績は今後どう進むのか。ゲルシンガー氏は「Intelにとっての“最悪の時期”は過ぎ去った」とし、「2024年8月に始まったコスト削減策が成果を上げている」と強調した。“ゲームに復帰する”ことが、復活に向けての第一段階だったという。

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