プロセッサ市場では、サーバ向けでもクライアントPC向けでも単に処理性能を上げるだけではない多様な進化が見られる。IntelやAMD、NVIDIAをはじめとしたベンダーからどのような新製品ができているのか。
Intel、AMD(Advanced Micro Devices)、NVIDIAなどがしのぎを削ってきたプロセッサ市場は、AI(人工知能)技術の利用が拡大する中で、プロセッサの設計から用途に至るまで一段と多様な進化を遂げようとしている。サーバ向けプロセッサ、クライアントPC向けプロセッサに関してどのような新製品が登場しているのか。主要ベンダーを含めて現況をまとめる。
ユーザー企業は今後、AI技術による推論を実行する際には、IntelやAMDのプロセッサ製品を利用するようになる、と予測するアナリストがいる。推論とは、トレーニング済みの機械学習モデルを使って予測をしたり分析をしたりするなど、何らかの結果を導き出す処理を指す。
一方で、機械学習モデルのトレーニング分野において、プロセッサベンダーとして支配的な地位を獲得しているのが、GPU(グラフィックス処理装置)をはじめとしたAI技術向けプロセッサを製造するNVIDIAだ。
NVIDIAは2024年3月、より高度で先進的なLLMのための次世代GPUのブランドとして「Blackwell」を発表した。Blackwellは開発コードネーム「Hopper」シリーズのGPU「NVIDIA H100 Tensor Core GPU」(以下、H100)や、「NVIDIA H200 Tensor Core GPU」の後継となるアーキテクチャを採用する。
Intelは、2024年第3四半期(7~9月)にAI技術向けアクセラレーターシリーズの「Gaudi 3」の出荷を開始する計画を立てている。これはIntelが「NVIDIAのH100よりも優れている」と、その処理性能をアピールするシリーズだ。Gaudi 3は、AMDが2024年第4四半期(10~12月)に提供開始する計画のAI技術向けアクセラレーター「Instinct MI325X」とも競合することになる。
AIアプリケーションのためのプロセッサやソフトウェア開発ツールは開発の初期段階にあるため、ユーザー企業が最適な選択をするのは容易ではない。調査会社TECHnalysis Researchの主席アナリスト、ボブ・オドネル氏は「あまりに複雑になっていて、どの製品が何に役立つのかが分かりにくくなっている」と語る。
Intelが2024年6月に発表したサーバ向けプロセッサ新シリーズ「Intel Xeon 6 Processors」(以下、Xeon 6)も、複雑化するプロセッサの例に漏れない。例えばXeon 6のCPUコアの一つである「Efficient-Core」(E-Core)は、データセンターのアプリケーションを実行する際の電力効率を重視した設計になっている。
IT業界で熱狂的なAIブームが始まったのは、2022年だ。きっかけは、OpenAIが2022年11月に提供開始したChatGPTだった。そのAIブームの中で、AI技術向けのプロセッサを提供するベンダーとしてはAMDやIntel、NVIDIAだけではなく、Cerebras SystemsやMythic、SambaNova Systemsといったベンダーも台頭している。Amazon Web Services(AWS)やGoogle、Microsoftといったクラウドサービスベンダーも、独自のプロセッサを手掛けている。
クライアントPC向けプロセッサとしては、Intelが2024年6月、開発コードネーム「Lunar Lake」の新プロセッサを発表した。「X86」の命令セットアーキテクチャであるこのSoC(システムオンチップ)は、E-Coreと、処理性能を重視した「Performance-Core」(P-Core)を採用する他、60TOPS(1TOPS=1秒間に1兆回の処理が可能)のGPU「Xe2」、48TOPSのNPU(Neural Processing Unit)が組み込まれる。
IntelはLunar Lakeを2024年内に提供開始する計画だ。クライアントPC向けを市場とするLunar Lakeは、AMDの「Ryzen」や、Qualcommの「Snapdragon X Plus」といったプロセッサと市場でしのぎを削ることになる。
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