Windows 11「絶望しがちな移行の道」――厄介な5大ハードルWindows 11移行計画のステップ【前編】

Windows 11への移行は、どのユーザー企業にとっても個人ユーザーにとっても、ほとんどの場合は避けて通れない選択だ。移行計画に未着手なのであれば、本稿で紹介する5つのハードルを知っておこう。

2024年11月10日 08時30分 公開
[Ed TittelTechTarget]

 クライアントOS「Windows 10」のサポート終了日が迫る中で、まだ「Windows 11」に移行していないユーザー企業や個人ユーザーは少なくないはずだ。移行計画をまだ十分に練れていないのであれば、まずはWindows 11への移行がつまずきがちになる原因を知っておくとよい。以降でWindows 11移行の“5つのハードル”を紹介する。

Windows 11移行を拒む5つのハードル

会員登録(無料)が必要です

 Windows 10のサポートが終了するのは、2025年10月14日だ。移行計画を立てていないのであれば、早急に計画に着手する必要がある段階に来ていると言えるが、計画を見直すのにまだ遅過ぎはしない。基幹業務アプリケーションをテストしたり、配布とそれによる業務中断の計画を立てたり、必要なライセンスを調達したりすることに時間を掛けて取り組もう。

 ただしそれらのステップを実行する前に、IT管理者は既存のPCがWindows 11のシステム要件を満たしており、この最新OSを実行するのに適しているかどうかを見極める必要がある。Windows 11への移行では、意外とこれらの基本的な事項が障壁になりがちだ。

 Windows 11は、ハードウェア要件に関連するさまざまな理由から、一定の要件を満たしていない古いPCでは動作しない。IT管理者はその要件を既存のPCのスペックと照らし合わせて確認し、システム要件を満たしていないのであればPCを交換する計画を立てる必要がある。その要件には以下のようなものがある。

システムファームウェア

 システムファームウェアに関して以下の要件を満たしている必要がある。

  • ファームウェアの標準規格「UEFI」(Unified Extensible Firmware Interface)に準拠
  • システム起動時に信頼できるソフトウェアのみで起動する「Secure Boot」の利用

TPM 2.0

 セキュリティモジュールの規格「TPM 2.0」(TPM:Trusted Platform Module)に準拠したセキュリティモジュールを搭載している必要がある。

プロセッサ

 Intelの第8世代「Intel Core」以降など、Windows 11で動作するCPUを搭載している必要がある。Advanced Micro Devices(AMD)の「Ryzen」シリーズや、Qualcomm TechnologiesのCPUでも同様にWindows 11の対象のCPUである必要がある。

RAM

 MicrosoftがWindows 11に定めているメモリ(RAM:Random Access Memory)の最低要件は4GB。だが使いやすさと適切なパフォーマンスを確保するためには、8GB以上のRAMを搭載するのが望ましい。特定の用途に限定したキオスク端末など通常の用途以外で使用する場合にはその限りではない。

インターネット接続とアカウント

 Windows 11は、インストールと初期セットアップの際に、インターネット接続とアクティブなMicrosoftアカウントが必要となる。これは特殊な状況を除いて、ほとんどのユーザー企業では大きな問題にはならないはずだ。

延長サポートも期限付き

 MicrosoftはWindows 10のサポート終了日以降も、追加の延長サポートを提供する。ただし、延長サポートを利用するためのコストがかかる。そのコストを負担したくないということが、一部の企業にとっては2025年10月14日のサポート終了日までに移行作業を完了させるというモチベーションになっている。

 サポート終了日までに安全に移行できないのであれば、3年間の延長サポートを適用した2028年10月14日までに移行期限を延ばすという選択が可能だ。それ以降、Microsoftは延長サポートを提供しなくなるため、それと同時にWindows 10のセキュリティを維持する方法はなくなる。

 Windows 11用の新しいPCを入手する方法の一つは、計画中のPC更改サイクルにWindows 11への移行を組み込んでおくことだ。


 次回は、Windows 11への移行計画を進めるための具体的なステップを紹介する。

TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス

米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 ゾーホージャパン株式会社

「特権ID管理」などのIT統制に関する課題を解決する2つのアプローチとは?

2006年に金融商品取引法にて規定された内部統制報告制度(J-SOX)では、「ITへの対応」が構成要素となっているが、IT統制の評価プロセスは工数がかかり、業務負担や監査コストが課題となっている。これらを解決する2つのアプローチとは?

製品資料 ゾーホージャパン株式会社

攻撃者が狙うActive Directoryパスワード、手間をかけずに管理を強化するには?

企業のActive Directory(AD)にアクセスするためのパスワードが攻撃者の手に渡ると、ポリシー変更や権限昇格のリスクが発生する。だが実際は、使いまわしや共有など、パスワードのずさんな管理も目立つ。これを解決するには?

製品資料 Splunk Services Japan合同会社

金融業界のイノベーションに、オブザーバビリティの向上が必要な理由

金融業界は常にイノベーションの創出が求められるが、これを実現する上では、オブザーバビリティの向上が鍵となる。本資料では、金融業界でのイノベーション創出に、オブザーバビリティの向上が必要な理由について解説する。

製品資料 グーグル合同会社

ユーザーデータを適切に保護、Chromeの拡張機能をまとめて安全に管理する方法

Google Chromeの拡張機能は、導入が容易であることからユーザーが独自にインストールしているケースも多く、セキュリティ面でのリスクが危惧されている。この問題を解消するには、拡張機能をまとめて管理者が安全に管理する方法が必要だ。

製品資料 グーグル合同会社

廃止予定のレガシーテクノロジーはなぜ危険? 4つのリスクと特定するコツとは

近く廃止される予定の Web 技術を使用している Web サイトは多数存在するが、それらを放置しておくことは、さまざまな問題につながるという。その4つのリスクを解説するとともに、レガシーテクノロジーを特定する方法を解説する。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...

news040.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。