SSDの価格は2023年秋からの上昇傾向に反し、2024年夏以降、1GB当たりの価格が約10%低下した。SSDの価格上昇は続くという一部の業界関係者の予測を裏切り、低下傾向にある。その理由とは。
SSDの価格は、2024年第2四半期(2024年4〜6月期)から第3四半期(2024年7〜9月期)にかけて徐々に低下し、9月初めには1GB当たり平均0.085ドルに達した(英Computer Weekly調べ)。これは2024年4月初めの価格と比べると約10%の値下がりだ。
SSDの価格は2023年秋からの上昇傾向にあったが、下落に転じた。2023年秋の時点では、SSD価格は2024年にさらに高騰すると考えていた業界関係者もいたが、そうはならなかった。なぜSSDの価格は下落しているのか。
SSDに使われるフラッシュメモリは、2023年終盤から2024年初めにかけて値上がりした。メモリベンダーが価格引き上げと収益の確保を目指し、生産を絞ったからだ。これを受けてSSD価格は上昇し、2024年4月には1GB当たり平均0.095ドルとなり、2023年10月の水準を26.67%上回った。
その後、ベンダーはメモリを増産したが、顧客の需要が追い付かず、価格が下落した。
一方、SAS(Serial Attached SCSI)接続およびSATA(Serial ATA)接続のHDDは、価格が安定して推移しており、2024年4月初めは1GB当たり平均0.041ドル、2024年9月初めには0.039ドルだった。9月初めの種類別の価格は、SAS接続のHDDでは1GB当たり0.041ドル、SATA接続のHDDでは同0.036ドルだ。
SSDの価格を種類別に見ると次のようになった。
この調査は、ストレージ製品価格比較Webサイト「diskprices.com」がAmazon.comから収集したデータをComputer Weeklyが分析した結果に基づいている。2023年4月から4万5000台を超えるストレージの価格と仕様を週ごとに集計して分析しており、毎週平均500台以上のストレージのデータが追加されている。
調査対象には大企業向けのストレージや、複数のストレージを組み合わせた「ストレージアレイ」のデータは含まれていない。調査対象のストレージの容量は、HDDが1TB未満から24TBまで、SSDが1TB未満から12TBまでとなっている。販売されているストレージ1台当たりの平均容量は3.9TBだ。
1GB当たりの価格は、顧客にとって主要な検討事項だが、ストレージのライフサイクル全体にわたる総所有コスト(TCO)も重要だ。TCOには主に購入時の費用、消費電力、メンテナンス費用が影響する。
SSDとHDDのどちらが電力効率に優れているかは、結論が出ていない。Computer Weeklyの試算では、選択したSSDやHDDの種類に左右されるようだ。物理的なスペースでどれだけのデータを格納できるかを示す「ストレージ密度」については、SSDの方が優れる傾向にある。
SSDはHDDよりも1台当たりの価格が高くなる傾向にあるが、メンテナンスコストは低くなりやすい。クラウドストレージベンダーBackblazeは、同社が所有する数十万台のSSDおよびHDDについて、信頼性(システムが提供できるサービスの継続性)に関するデータを公開している。同社のSSDの2023年第2四半期における年間故障率(AFR)は1.05%だった。SSDの2024年のAFRはまだ公表されていないが、HDDの2024年第2四半期のAFRは1.71%だった。
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