トランプ氏の新政権はサプライチェーンにどのような影響をもたらすのか。同氏の前政権が強硬な貿易政策を展開した背景から、企業は準備を怠れない状況だ。具体的に何をすればいいのか。
2024年11月の米国大統領選で当選したドナルド・トランプ氏が率いる新政権は、サプライチェーンにも影響を及ぼす可能性がある。あるアナリストは、トランプ氏の前政権の動向から見通しを立てることが可能だと指摘する。企業は新政権の動きにどのように備えればいいのか。
トランプ氏は前政権時代、中国に強硬な姿勢を示し、追加関税を課した。新政権でも、中国のみならず、カナダやメキシコ、欧州諸国といった国々の製品に関税を課す可能性がある。「トランプ前政権の動きを振り返ることで見通しを立てることは可能だ。ただ、確実なことは何もない。関税は新たな混乱を生む要因として考慮すべきだ」と、調査会社Gartnerのバイスプレジデント兼アナリスト、マイケル・ドミニー氏は指摘する。
「サプライチェーンはここ数年、絶え間ない混乱状態にあった。企業の一部は混乱に備えている」サプライチェーンマネージメント協会(ASCM:Association for Supply Chain Management)のCEO、エイブ・エシュケナジ氏はこう指摘する。企業の中には、投資や生産の拠点を中国に集中させた反省から、中国以外の国や地域に分散させる「チャイナプラスワン」を実施するところもある。
1992年、米国、カナダ、メキシコは北米自由貿易協定(NAFTA)に調印。2017年、トランプ前政権の要請に基づき、同3カ国がNAFTAの再交渉を実施し、新NAFTA(米国・メキシコ・カナダ協定:USMCA)が成立した。「トランプ政権下でNAFTAがUSMCAに再編され、現在も貿易と関税についてあらためて議論が進んでいる。これがサプライチェーンの再編に波紋を広げる恐れがある」(ドミニー氏)
「トランプ新政権がどのような政策を実施するにしても、サプライチェーンが置かれた状況は変化し、複雑性や不安定性が増す恐れがある。サプライチェーンを計画している担当者はこうした状態に備える必要がある」。調査会社McKinsey & Companyのパートナー、クヌート・アリッケ氏はこう指摘する。
「余裕を持ち、計画立案の回数を増やし、サプライヤーや物流システムに問題が発生した場合に備えてバックアップを用意することが肝要だ」とアリッケ氏は説明する。「状況が不安定になれば、サプライチェーンは複雑になる。1社のサプライヤーに依存していた状態から複数社のサプライヤーに切り替えたり、10の計画を15に増やしたりしなければならないといった具合だ」(アリッケ氏)
このような状況に遭遇した際、「より高度なSCM(サプライチェーンマネジメント)ツールが必要になる可能性がある」とアリッケ氏は指摘する。同氏によると、企業のほとんどはSCMツールとして表計算ツール「Microsoft Excel」を使用しているが、Excelは拡張性に欠け、処理が不安定になる恐れがある。
ドミニー氏もアリッケ氏に同意し、「安定したサプライチェーン管理と計画策定が可能なシステムを確立する必要がある」と言い添える。
「トランプ新政権は何をしようとしているのか。サプライチェーンに影響を及ぼす要素は何か。さまざまな観点から、どのような事態にも対処できる計画を考え、遂行できる状態にしておくことが大切だ」(ドミニー氏)
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