ERPを導入して実装するまでの過程で、当初想定していなかった高額な費用が発生する場合がある。なぜそうした費用が生まれるのか。
新たにERP(統合基幹業務システム)を導入する最高情報責任者(CIO)が、導入プロジェクトの設計から導入、運用までを指揮する中で予想外の費用を請求されて驚く場合があるという。
想定外の費用が生じるとCIOが考えている場合、ERPの導入に付随する作業を過小評価したり見落としたりしている可能性がある。「デジタルトランスフォーメーション」(DX)とERPに関するコンサルティング企業Panorama Consulting Groupの年次調査レポート「The 2023 ERP Report」によると、ERP導入に際して当初想定していた予算を超過したと答えた企業は47%だった。同レポートは2021年11月〜2022年8月、183人の労働者を対象に実施した調査に基づく。
レポートによると、回答した人が所属する企業のERP導入費用の中央値は62.5万ドル、年間売上高の中央値は15億ドルだった。
導入費用が高額になるのは、ERPが複雑なシステムだからだ。ERPは経理や財務、人事、カスタマーサービス、調達、サプライチェーンといった多様な分野をカバーするモジュールで構成されている。モジュールにひも付くさまざまな部門のデータや業務プロセスをERPに取り込むには、ERPと他のシステムを接続し、データをシームレスに移動できるようにしなければならない。
企業はERPを導入する際の費用として、ソフトウェアの価格に加えて以下の作業にかかる費用を見積もる必要がある。
コンサルティング企業WithumSmith+Brownでクラウドテクノロジーリーダーを務めるウォーリー・マーカス氏は、「十分な計画を前もって立てられない企業は、目に見えない費用や予算超過に遭遇しやすい」と指摘する。
後編は、ITの専門家が挙げる、目に見えない費用9つを紹介する。
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