IT運用の効率化を目的に、定型作業の「自動化」や、複数の作業を連携させる「オーケストレーション」を取り入れる選択肢が広がっている。これら2つの手法を取り入れ、成功させるためのポイントとは。
IT部門の生産性向上や業務効率化を図る手段として、「自動化」と「オーケストレーション」の活用は広がっている。スクリプトを使ったり、ソフトウェアを駆使したりすることで反復的な作業を省力化することや、システム運用を一元的に制御し、業務のスピード向上に役立つのがメリットだ。
だが、すべての業務に無条件で自動化やオーケストレーションの適用ができるわけではない。技術的な制限や、人的リソースが導入に当たっての課題として立ちはだかることもある。そこで本稿では、自動化とオーケストレーションのメリットだけでなく、導入における注意点や制限、導入を成功させるためのベストプラクティスをまとめる。
多忙なIT部門にとって、自動化とオーケストレーションはもはや不可欠な存在だ。両テクノロジーに対応するためのさまざまな手法やツールが存在するが、その導入成果を最大化するには、幾つかの基本的なベストプラクティスを押さえておくことが重要になる。
自動化やオーケストレーションを導入する前には、何を達成したいのか、目標をしっかりと検討しておく必要がある。自動化とオーケストレーションの適用範囲は広く、使い方も多岐にわたるため、目標を明確にしておくことが重要だ。
例えば、IT運用のダウンタイムを減らしてプロセスを高速化したいのか、ビジネス全体のワークフローを最適化したいのかによって、適用すべき手法は異なる。いずれの取り組みであっても、事前に明確な目標を定めておくことで、取り組みの効果を客観的に評価しやすくなる。
すべてのタスクやワークフローが自動化に適しているわけではない。中には構造が複雑で、簡単には自動化できないものもある。適しているのは、よく繰り返され、処理に時間がかかり、エラーが起こりやすいタスクだ。ただし、必要以上に自動化を進めると、後々メンテナンスが難しくなる「技術的負債」を抱えるリスクもあるため、注意が必要だ。
自動化やオーケストレーションは、プロジェクトの規模や複雑さによっては、導入や運用が非常に困難になることがある。最初から難易度の高いプロジェクトに挑むのではなく、まずは規模が小さく、構成がシンプルなプロジェクトから始めるのが効果的だ。そうすれば担当者やチームはツールの使い方や運用の流れを実践的に学ぶことができ、徐々により大きなプロジェクトへとステップアップしやすくなる。
自動化やオーケストレーションの分野には、さまざまなツールや手法が存在する。それぞれに独自の機能や強みがある。自社のビジネスニーズを把握した上で、コストやパフォーマンス、機能、将来性といった観点でバランスが取れたツールを選定することが重要だ。
選んだツールが実際に期待通りに動作し、既存システムと適切に統合できるかどうかを確認するためには、「概念実証」(PoC)のプロジェクトを実施することが推奨される。初期段階でのこの検証が、後々の大きな利益や失敗回避につながる可能性がある。
自動化やオーケストレーションのプロセスを確立することは、出発点に過ぎない。真の価値を引き出すには、その後も継続的に監視をし、最適化と更新のサイクルを回す必要がある。多くの場合、ワークフローの一部をアップデートするだけでも、動作がより効率化され、変化するビジネス環境や新たな要件により的確に対応できるようになる。
自動化とオーケストレーションの手法はこれまでに十分に確立され、実績がある。IT部門に欠かせないテクノロジーではあるが、幾つか考慮すべき制限も存在する。注意が必要なのは以下の点だ。
自動化と同様、オーケストレーションにも、導入にするに当たって慎重に評価すべき制限事項がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
全国2万以上の保育/教育施設で職員の業務を支援するためのクラウドサービスを運営しているコドモン。ユーザー数の増加に伴いシステムの安定運用が課題になっていたという同社は、どのように監視体制の強化を進めたのだろうか。
AIプラットフォーマーとしてさまざまなサービスを展開しているAI inside。同社は、サービスの安定運用を実現するために監視体制の強化に着手する。同社がどのようなツールを導入して取り組みを進めたのか、本資料で解説する。
「Windows 11」は従来の「Windows」と比較して、システム要件が厳しいとの声がある。具体的には何が違うのか。そもそもWindows 11への移行に意味はあるのか。
「Windows 10」のサポート終了が迫る中、移行に関する幾つかのハードルや誤解からまだ「Windows 11」に移行できていない組織がある。移行を円滑に進めるために押さえておくべき点とは。
マルチテナント型SaaSの開発・運用に当たっては、ID・アカウント管理を適切に設計・実装していくことが不可欠だ。その理由を確認しながら、ID・アカウント管理で求められる要件や構築のポイントを解説する。
「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...