モバイルVPNには移動中でも接続が途切れにくいといった利点があるが、そもそもVPNに潜んでいるリスクには注意しなければならない。利用を検討する際に押さえておくべき注意点とは。
“仮想的なトンネル”を通じてデータを安全に送受信するための手段として使われている「VPN」(仮想プライベートネットワーク)。その一種に、「モバイルVPN」がある。モバイルVPNは、テレワークなど移動を伴う利用環境で、通常のVPNでは接続が途切れがちになるなどの課題を解消できるVPNだ。そのメリットは中編「なぜテレワークでは『普通のVPN』より『モバイルVPN』が役立つのか?」までに解説した。
公衆の無線LANなど、リスクが伴う利用環境では欠かせないツールとなっているVPNだが、あらゆるリスクに対してVPNが有効なわけではない。そればかりか、本来有効なはずの用途でも、VPNの利用がリスクにさらされることもある。その安全性の限界を押さえておこう。
まず、VPNとは通信内容を暗号化し、仮想的な専用ネットワークを構築することで、安全にデータをやりとりするための技術だ。特に、公衆の無線LANのアクセスポイントなど、セキュリティが不十分なネットワークを利用する際に、通信の安全性を高める手段として広く活用されている。特定の国や地域からしかアクセスできないWebサイトに、対象外の地域から接続するための手段としても用いられる。
VPNを利用することで、ユーザーのIPアドレスや位置情報、利用しているネットワークといった一部の識別情報が外部に知られにくくなる。第三者による盗聴のリスクを低減し、オンライン上のプライバシーを保護する手段として一定の効果が期待できる。
VPNを利用していても、全てのセキュリティリスクを完全に防げるわけではない。通信内容はVPNサーバにルーティングされるため、VPN事業者によってはユーザーの活動履歴を記録している可能性があり、それが悪用されるリスクがある。インターネットサービスプロバイダー(ISP)は、暗号化された通信の中身こそ確認できないが、通信量や通信時間といった「メタデータ」は把握でき、そこからユーザーの行動パターンを推測できる可能性がある。アクセス先のWebサイトは「Cookie」などの仕組みを使って、ユーザーの閲覧履歴や操作内容を追跡することがある。
VPNは、通信内容を暗号化して第三者による盗聴を防ぐための手段ではあるが、マルウェア(悪意あるソフトウェア)への感染や、フィッシング詐欺といった他の脅威までは防げない。オンライン上の安全性を高めるには、VPNの利用に加えて、セキュリティ対策ソフトウェアの導入や、安全なWeb利用に関する習慣を徹底することが欠かせない。
以上のようなVPNのリスクを踏まえた上で、モバイルVPNを選ぶ際には以下のような点を総合的に考慮することが重要だ。
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