ビジネスを成功に導くために不可欠なのが“目標の設定”だ。IT部門にとってもその重要性は変わらない。ITリーダーが適切な目標を設定するための方法と、参考にすべき具体例を紹介する。
最高情報責任者(CIO)など、ITリーダーが適切な目標を設定すれば、チームは共通のゴールに向けて、一丸となって取り組むことができる。事業目標は企業ごとに異なるものだが、IT部門の目標はどの企業にも共通する普遍的なものがほとんどだ。本稿は、IT部門における目標設定のメリットと設定方法、目標の具体例を紹介する。
ITリーダーのための認定資格を提供する組織IT Management and Leadership Instituteでエグゼクティブディレクターを務めるエリック・ブルーム氏は目標設定のメリットについて次のように語る。「目標設定によって達成すべき成果と、その期日が明確になれば、チームのメンバー全員が達成に向けて行うべき作業を理解できる」。つまり、目標が行動の指針になるということだ。
目標設定のメリットはチーム内にとどまらない。グローバルコンサルティング企業Accentureのテクノロジーストラテジー&アドバイザリープラクティス部門のエグゼクティブディレクターを務めるジェニカ・マクヒュー氏は次のように語る。「目標を掲げることで、経営陣や他の部門など、ステークホルダーに対し、ITチームがどこを目指しているかを明確に示すことができる」
「目標設定により、チームやステークホルダーは、時間、労力、資金などのリソースをどこに集中すべきかを理解できる。目標達成に貢献しない活動に費やす時間が減り、生産性の向上にもつながる」。ブルーム氏もそう語る。
目標は従業員体験の向上にも役立つ。「自分の仕事が全体の目標達成に貢献しているという事実がはっきりするので、従業員はやりがいを感じやすくなる」(ブルーム氏)。目標に対する一人一人の責任が明確化するので、メンバーが責任感を持ち、自発的な行動が促進される効果もある。
ではどのように目標を設定するのか。フレームワーク「SMART」を活用できるだろう。これは、具体性(Specific)、測定可能性(Measurable)、達成可能性(Achievable)、実現可能性(Realistic)、期限の明確さ(Time-bound)という5つの要素に基づいて目標を設定する手法だ。
重要な別の考慮事項は、IT部門の目標と、企業の全社的な目標との整合性だ。そのために、ITリーダーは自社のビジョンと目標を深く理解している必要がある。
調査会社Forrester Researchのエンタープライズアーキテクチャプライオリティー部門のプリンシパルアナリストを務めるチャールズ・ベッツ氏は、良い目標設定のために、ITリーダーが持つべき資質について次のように語る。「ITリーダーは何よりもまず、優れた戦略家、戦術家でなければならない。ステークホルダーとの良好な関係を維持するために、コミュニケーション能力や、複数の意見を取りまとめる能力も必要だ」
実践的な手法として、大きな目標をより小さな目標に分割することも効果的だ。「目標到達に必要なステップをリスト化することにより、進捗(しんちょく)状況が把握しやすくなる」と、マクヒュー氏は語る。
これに関連し、フレームワーク「OKR」(Objectives and Key Results)を活用することもできる。OKRは魅力的な目標と、その達成度を測るための定量的な成果指標を設定する手法で、多くのIT企業で使用されている。
柔軟性や融通性も大切で、毎月、もしくは3カ月ごとなど、定期的に目標を見直して、必要に応じて調整を加えることが欠かせない。
最後に、忘れてはいけないのが期日の指定だ。
ブルーム氏は、「目標をITリーダーが設定してもいいし、IT部門内の各部署に決めさせる方法もある」と語る。とはいえ前述の通り、IT部門の目標は企業間で大差がないため、実際の例を知ることはアイデアの創出に役立つだろう。以下に目標と、それにひも付く成果指標の例を挙げる。
翻訳・編集協力:雨輝ITラボ(リーフレイン)
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