2026年に向けて、IT管理者が押さえるべきバックアップの主要トレンドにはどのようなものがあるのか。後編では5つを紹介する。
ランサムウェアの脅威増大や規制の強化と、IT部門は2026年もさまざまなバックアップの課題に取り組んでいく必要がある。本稿は、2026年に向けて知っておきたい、バックアップのトレンドを5つ紹介する。
「3-2-1バックアップルール」(注1)は、効果的でレジリエントなバックアップインフラの構築に貢献してきた。一方、さらに効率的かつ効果的なバックアップやリカバリプロセスを構築しようと、このルールを以下のように改変している企業もある。
※注1:本番データを含めて合計「3」つのデータコピーを保持し、保管には「2」種類以上の異なるストレージ媒体を使用し、そのうち「1」つをオフサイト(本番拠点とは別の場所)に保管するという、データ保護の基本的なルール
ゼロトラストの原則をバックアップに適用することで、ユーザーに必要最低限の権限のみを与える「最小特権の原則」を徹底し、「決して信頼しない」前提で運用することで内部脅威に対抗することができる。バックアップデータへのアクセス制御に、多要素認証(MFA)と論理的なデータ分離を組み合わせることで、バックアップデータへのアクセスをアイデンティティ(認証情報)単位で管理できる。
ゼロトラスト戦略でバックアップを強化するに当たっては、以下を組み合わせることが有用だ。
これらを利用することで、バックアップジョブを狙って進化を続けるセキュリティ脅威の軽減に役立つ可能性がある。
ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)をはじめとしたマルウェアに関する懸念が続く中、バックアップジョブを隔離して完全性を保護することで迅速な復旧が可能になる。イミュータブルバックアップとエアギャップストレージは、バックアップジョブの改ざんを防止しデータを保護する。
エアギャップバックアップでは、リムーバブルテープやリムーバブルドライブ、セキュアなクラウド上の保管庫をストレージとして使用する。ただし、手動でのプロセスが必要になる場合があり、バックアップや復旧に時間がかかる場合がある。
イミュータブルバックアップには、WORM(Write Once Read Many:1回書き込み/複数回読み取り)と呼ばれる機能が一般的に用いられている。WORMは、クラウド、オンプレミス両環境で自動的、継続的な保護を実現するだけでなく、規制の順守を支援する役割も担う。
データ保護規則は変化を続けている。2026年には、バックアップ管理者に課題がもたらされる可能性がある。課題は、データの保存先や転送先を特定地域内にとどめる「データローカライゼーション」やデータの制御と管理に関する権利を意味する「データ主権」に関わるものだ。具体的な対策としては、以下がある。
データバックアップと「ESG」(環境、社会、ガバナンス)との関連を考えた場合、考慮すべき事項となり得るのが、エネルギー効率、透明性、データセキュリティ、コンプライアンスだ。持続可能性を向上させるには、バックアップシステムにおいて、効果的なセキュリティと災害復旧(DR)機能を維持しながら、エネルギー効率の高いストレージ、カーボンニュートラル、規制コンプライアンスを優先する必要がある。具体的には、以下の対策がある。
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