人事の「Excel地獄」を救え “スクラッチ開発”を見送ったMIXIの現実解1700人の証明書を3人で処理

異なる形式の証明書を「Microsoft Word」「Microsoft Excel」で作成してチェックする手作業に忙殺されていたMIXIの人事部門。既存ツールを活用してこの課題を解決する選んだ、同社の選定プロセスと効果は。

2026年05月12日 05時00分 公開
[CaseHub.NewsTechTarget]

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 事業の多角化と組織の急成長を続けるMIXIにおいて、バックオフィス部門の生産性向上は経営上の重要課題だ。特に、約1700人の従業員を抱えながら給与計算や社会保険手続きを2、3人の少数精鋭で担う労務チームにとって、日常的な証明書発行業務は無視できないボトルネックと化していた。

 最大の課題は、自治体ごとに異なる証明書の発行業務だ。特に保育園の申請時期である秋ごろには、就労証明書の依頼が月間90件近く集中する。従来は「Microsoft Excel」や「Microsoft Word」を使い、これらを1件ずつ手作業で転記、作成していた。そのため現場は作成作業だけではなく、転記ミスを防ぐためのチェック作業に忙殺されていた。

 現場から寄せられる「業務効率化」の要望に対し、膨大なコストを投じたスクラッチ開発や大規模なシステム刷新は必ずしも正解ではない。MIXIが選択したのは、導入済みの人事労務システム「SmartHR」を核とし、その周辺領域をAPI連携で拡張する「帳票DX for SmartHR」の導入だった。段階的な拡張を通じて現場の業務負荷を下げた“スモールスタート”の裏側には、どのような比較検討プロセスと選定基準があったのか。

今あるツールを生かす「現実的なDX」

 MIXIは、証明書発行業務の効率化を目的に帳票DX for SmartHRを採用した。2026年4月27日、同サービスを提供するオプロが発表した。従来は手作業で就労証明書や給与支払証明書などを発行していたが、既に導入していた人事労務システムSmartHRと帳票DX for SmartHRの連携によって、証明書の約8割を自動生成できる仕組みを構築した。転記作業やミス防止にかかる工数を削減し、繁忙期の業務負荷を大幅に軽減したという。今後は多様な働き方に適合した各種証明書の発行システムとして活用範囲を広げる考えだ。

 デジタルエンターテインメントやスポーツ、ライフスタイル領域で事業を展開するMIXIは、約1700人の従業員を抱えている一方で、給与計算や社会保険手続きなどの労務管理は2、3人の小規模なチームで対処している。全国に点在する従業員から日常的に依頼される各種証明書の発行業務が、チームの大きな負担となっていた。

 証明書の様式は自治体ごとに異なり、従来はMicrosoft ExcelやMicrosoft Wordを使い、1件ずつ手作業で作成していた。保育園の申請時期である秋ごろには就労証明書の依頼が月間90件近く集中し、給与支払証明書などの依頼も重なるため、作成作業だけではなく転記ミスのチェックにも多大な工数を要していた。こうした手作業によるボトルネックの解消が急務となっていたという。

 新たな仕組みの検討に当たって、MIXIは既に社内で利用していたSmartHRとの連携を重視。複数ツールを比較した結果、オプロの帳票DX for SmartHRを選定した。スモールスタートができる運用の自由度も評価したという。

 MIXIは段階的に帳票DX for SmartHRの活用を進め、2026年5月現在では発行する証明書の約8割をボタン1つで自動生成できるようになった。SmartHRの従業員台帳から必要なデータが自動的に反映されるため、手作業による転記ミスがなくなり、確認作業の負担も軽減された。健康保険・厚生年金保険の資格取得証明書および資格喪失証明書、給与支払証明書といった申請の頻度が高く、発行作業の工数が多い証明書で、既に大幅な業務の効率化に貢献しているという。

 申請の受付から処理状況の管理、証明書の配布までの一連の業務をSmartHRで完結できる体制が整ったことで、複数システムを使い分ける手間や台帳情報の更新漏れといったリスクも解消された。担当者が空いた時間を利用して、個別対処が必要な特殊なフォーマットの証明書作成に注力できる体制を構築できたという。今後は、手作業が残る2割の証明書についても、無理のない範囲で自動化を進める方針だ。

(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHub.News」に掲載された「MIXI、証明書の8割を自動生成 SmartHR連携で発行業務を大幅に効率化」(2026年4月28日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。


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