グループウェアとファイルサーバ。どちらも文書共有手段として活用されるものだ。だが、データアクセスの使い分けの結果、必要なデータが両者に散らばってしまった。分散データを見える化する方法はあるのか。
本連載では中堅・中小企業が手間やコストをなるべく掛けず、安全にデータを共有するためにはどのような製品・ソリューションを導入するとよいかという観点から、「データの見える化」について解説している。第2回「Windows 7も活用 クライアントPCに埋もれた『データの見える化』」ではクライアントPC内のデータについて取り上げた。続く第3回(今回)と第4回は、それぞれサーバおよびストレージに格納されたデータの見える化について取り上げる。まず、第3回と第4回のテーマの違いについて簡単に説明しておこう。
「サーバ内のデータ」といった場合、サーバ筺体に搭載されたHDD内のデータであれば確かにサーバ内だが、サーバに接続されたディスク筺体内に格納されたデータは「ストレージ内のデータ」と見なすこともできる。これでは混乱が生じてしまうので、本連載ではそれぞれ以下のように定義して区別することにする(あくまで本連載における説明のための定義である)。
「サーバ内のデータ」の代表例は、グループウェアの掲示板やファイルライブラリに格納されたデータである。「ストレージ内のデータ」はファイルサーバやNAS(Network Attached Storage)などに格納されたデータが該当する。従って今回は、「業務アプリケーションを通じてユーザーがアクセスするデータ」の見える化が対象となる。
以下の説明では、多くの読者がイメージしやすいグループウェアを例に取ろう。グループウェアは、掲示板、フォーラム、ファイルライブラリといったデータ共有に有効なさまざまなアプリケーションを備えている。それらの多くはファイル添付機能を備え、Microsoft Officeなどで作成された文書を張り付けられる。簡単な版管理機能を備えているものもあるので、文書共有の手段として活用されることも少なくない。グループウェアでは管理者による権限設定が比較的厳格であり、エンドユーザーが勝手にサブフォルダを作成できないようになっていることも多い。
また、ファイルサーバやNASも文書共有の手段としてはごく一般的だ。ただしグループウェアとは違い、ネットワークを介して共有されたフォルダ内にエンドユーザーが自由にサブフォルダを作っているという場面をよく見かける。
グループウェアに格納されたデータはブラウザからもアクセスが可能なため、社外での参照が多い場合には便利だ。一方、ファイルサーバやNAS内のデータは権限設定が緩いことが多く、社内クライアントPCからのコピーや移動も手軽だが、社外からのアクセスは通常は難しい。そのように考えると、「社外から参照する可能性のあるデータはグループウェア、それ以外はファイルサーバやNASに格納」という使い分けが出てくる。
しかし、この使い分けによって、さまざまなデータが冒頭に述べたサーバとストレージに分散することになる。結果的に、何かデータを探そうとしたときはサーバとストレージの両方を探さなければならなくなる。その手間を不快に思うユーザーが、一方から他方へデータを複製するかもしれない。同じデータが2カ所に格納されると、どちらが最新版、あるいは正規のものなのかを確認するために中身を開いて確認するという手間がさらに生じる恐れもある。
こうしたデータの分散を解消するための手段が「エンタープライズサーチ(エンタープライズ検索)」だ。エンタープライズサーチとは、複数のデータ保存場所に対し、まとめて横断的に検索を行うことができる仕組みを指す。社内に分散したデータ自体はそのままの状態で、あたかもそれらが1カ所にまとまっているかのような形で検索を実行できる。上記に述べた課題を解決するには最適の手法といえるだろう。エンタープライズサーチというと、従来は大企業が文書管理やナレッジマネジメントのために導入するものととらえられがちだった。だが現在は、中堅・中小企業が比較的手軽に導入できる製品も登場しており、活用の機会はかなり増えている。
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