昨今、中堅・中小企業においても「見える化」というキーワードが注目を集めている。以下のグラフは年商5億〜500億円の中堅・中小企業に対し、「会計管理/販売管理/人事・給与/生産管理などといった基幹系業務システムを変更する際の事由」について尋ねた結果である。
業務効率改善、コスト削減、業績向上などといった経営的な観点が上位を占めているが、それに続いて多いのが「見える化の促進」だ。企業活動に欠かせない基幹系業務システムを変更する際にも、「見える化」が深くかかわっているのである。
しかし、ここでの「見える化」とは、大企業でいわれているものとは少し異なっている。大企業においては「DWH(Data WareHouse)やBI(Business Intelligence)などを駆使し、経営判断に必要となる情報を迅速に集積・分析する」といった意味で用いられることが多い。いわば「経営の見える化」である。一方、中堅・中小企業が必要としている「見える化」は、社員がむしろ日々こなしている業務に大きくかかわるものだ。
Microsoft Office Excel(以下、Excel)を例に取って考えてみよう。中堅・中小企業では営業マンやマーケティング担当が個別にExcel上でデータを作成、活用していることも少なくない。営業マンが自ら担当する案件の進ちょくや実績を管理するために、Excelシートにデータを小まめに入力しているケース、マーケティング担当が営業マンから個別に聞き出した商談獲得状況をExcel上に入力し、販促活動の実施タイミングを計るケースなどが挙げられる。いずれも社内で共有することができれば、自社の業績にもっと貢献できるデータであることは明らかである。
こうした形で社員が個別に保持するExcelデータは、見つけ出すことが難しい。仮に見つけ出せたとしても、データの書式がさまざまであるため、共有するにはデータの加工作業が必要となってしまう。これは「隠れたExcelレガシー問題」ということができる。一般に「Excelレガシー」というと、Excelファイルがマクロなどを駆使することによって1つのシステムに相当する機能を持ってしまい、それをメンテナンスできなくなる状態を指す。しかし、「保存された価値あるデータを共有するためには個々のExcelファイルを丹念に見ていくしかない」という点では、上記の例もExcelレガシー問題と類似している。
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