IFRSでは財務諸表も大きく変わる。包括利益や財政状態計算書など新たな言葉も登場し、企業における利益の考え方も見直す必要がある。公認会計士による講演を基にIFRSの財務諸表を説明してみよう。
IFRSに触れた人が最も驚くのは財務諸表が大きく変わってしまうことかもしれない。「IT担当者のためのIFRS入門」の第2回は、日本IT会計士連盟が5月20日に開催したセミナー「情報システムに関わる人のためのIFRS入門」での公認会計士 五島伸二氏の講演を基に、IFRSの財務諸表を中心に解説しよう。
これまでの日本基準の財務諸表は、売上高や経常利益を表示する損益計算書(P/L)と、会社の資産や負債、資本を示す貸借対照表(バランスシート、B/S)、そしてキャッシュ・フロー計算書、株主資本等変動計算書の4つで構成した。IFRSではこのうち、P/LとB/Sが大きく変わる。まずは第1回で説明したようにIFRSの財務諸表で重視されるB/Sから見てみよう。
B/Sは、これまでの貸借対照表からIFRSでは財政状態計算書(英語ではStatement of Financial Position)と名称を変更する。資産、負債、資本と区別して表示するのは日本基準のB/Sと同じだが、資産と負債については「非流動資産」(例えば、有形固定資産など)、「非流動負債」(長期借入金など)から記載し、その後に流動資産(棚卸資産など)、流動負債(買掛金など)を記述することが多いのが特徴的だ。つまり「並びが日本と逆になる」(五島氏)のだ。日本の財務諸表に慣れた人は戸惑うかもしれない。
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