仮想Mac OSは実現するか?(後編)
Appleのライセンス契約はMac OSの仮想化を禁止
「仮想Mac OS」の実現には、Appleのソフトウェアライセンス使用許諾契約の改変が必要となる。Appleには、これに応じる用意があるのだろうか?
前編「期待が高まるデスクトップ仮想化による『仮想Mac OS』の実現」では、「VMware vSphere 5」がAppleのサーバOSをゲストOSとしてサポートすると発表したことに端を発する、Mac OSの仮想化への期待が広がっていることをお伝えした。後編では、その実現性について検討してみたい。
ライセンス条項に関するAppleの返答
VDI(仮想デスクトップインフラ)は、技術的にはAppleのハードウェアからMac OSを抜き出せるが、Appleのソフトウェアライセンス使用許諾契約は仮想化を禁じている。この件についてAppleに電話で問い合わせたが返答は得られず、ライセンス方針を説明するページのリンクがメールで送られてきた。
AppleのMac OS X用のソフトウェア使用許諾契約書には、「Appleソフトウェアのコンポーネントの一切はバンドルの一部として提供され、バンドルから分離させること、およびAppleソフトウェアから完全に切り離したアプリケーションとして配布することはできません」と記載されている。
一部の向きによれば、近い将来、こうした条項が変わることはなさそうだという。なぜなら、Appleのソフトウェア事業はハードウェア販売のけん引役を担っており、Appleは実際ハードウェア企業だからだ。それにAppleはかつてMac OSの切り離しを認めたことがあるが、マイナスの結果に終わっている。
スティーブ・ジョブズ氏が1996年にAppleへの二度目の復帰を果たす以前、同社はMac以外のハードウェアでもMac OSを動かせるよう、同OSのライセンス供与を行っていた。「その結果、Mac OSはコモディティ化し、価値が下がってしまった」と米IDCのアナリスト、イアン・ソング氏は言う。「それに、もしAppleがハードウェアでの優勢を失えば、同社はユーザー体験を保証できない。同社はそうした過ちを再び繰り返したりはしないだろう」とさらに同氏は続けている。
企業がユーザー体験を保証できる唯一の方法は、ソフトウェアとハードウェアをプロプライエタリに保つことだ。「仮想化されたデスクトップではネイティブなユーザー体験は提供できない。グラフィックのサポートに関してはなおさらだ。それを考えれば、Appleが近い将来、自社のOSをVDIで使用することを認める可能性は極めて低い」とソング氏は言う。
MacでWindowsを動かす
Windows端末でAppleのデスクトップOSを稼働させる合法的な方法はないが、デスクトップ仮想化を使ってその逆を行う方法は幾つかある。
米Citrixは最近、仮想化クライアントソフト「Citrix Receiver」のMac版に改良を加えており、VMwareは「VMware View」クライアントのiPad版を発表している。Quest Softwareも自社のVDI製品とTerminal Server製品をサポートするMacクライアントを提供している。
さらにITプロフェッショナルは、「VMware View Local Mode」や「MokaFive」といったType2のハイパーバイザーをMacに置いて仮想マシンのWindows環境をApple端末で動作させられる。こうした製品は管理システムとの連係も可能だ。
またCitrixはType1ハイパーバイザーである「XenClient」のハードウェア互換性リスト(HCL)にMacを追加する計画であり、2009年の年次カンファレンス「Citrix Synergy」でそのデモを披露している。「ただし、少なくとも2012年まではMacはサポートされない」とソング氏は語っている。
他には、「VMware Fusion」「Parallels Workstation」「VirtualBox」(VirtualBoxについては、「VMwareやMicrosoftの仮想PC製品に匹敵する無償ソフトウェア」も参照いただきたい)などのMac用Windows仮想化ソフトウェアもある。
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