多要素認証の利用やポリシー教育の徹底を
FacebookやTwitterを危険にする「パスワード使い回し」
マーケティングなどでの企業利用が進むソーシャルメディア。ただし、セキュリティ意識が希薄なままでのソーシャルメディア利用は大きなリスクを招く。現状の課題と対策を追った。
ソーシャルメディアツールもメールと同様に、フィッシング詐欺やマルウェア、スパム攻撃といったセキュリティ問題に見舞われるようになった。こうしたソーシャルメディアのセキュリティ問題は、IT管理者が対処しなければならない新たな脆弱性を企業に突き付けている。
企業のIT部門は、情報セキュリティおよび法令順守と、ソーシャルメディア利用の必要性との間でバランスを取ろうと腐心している。ソーシャルメディアは、IT部門とは別の部門が管理しているのが一般的だ。従業員が許可なくソーシャルメディアを使っている場合も多い。
「企業が現時点で最も懸念しているのは、ブランドの評判のようだ」と話すのは、米調査会社Altimeter Groupのアナリスト、アラン・ウェバー氏だ。「一方、潜在的かつ深刻なリスクに対して注意を払っていない。ソーシャルエンジニアリングの手口を使えば、パスワードや会社の重要な情報を引き出すことができる」とウェバー氏は語る(参考:「人の脆弱性」をあぶり出す、4つの侵入テスト手法)。
向こう数年のうちに、ソーシャルメディアを狙ったハッキングは、ソーシャルエンジニアリングの手口であれ、別の手口であれ、他の問題以上に企業を脅かすとウェバー氏は予想する。ソーシャルメディアをマーケティング部門が管理しており、IT部門が関与していない場合、特にセキュリティリスクが高まる可能性がある。
ソーシャルメディアのセキュリティ欠如による情報流出
クラウドストレージやファイル同期サービスと同様に、ソーシャルメディアツールはセキュリティリスクを呼び込む。特に私用と仕事用のアプリケーションで同じパスワードとユーザー名を使い回している従業員は危険だ(参考:なりすましによる情報漏えいが多発、原因は「パスワード管理の不備」)。さらに、ユーザーはサービスを乗り換えた場合でもアカウントを削除しない傾向があり、こうしたパスワードは攻撃側にとって格好の標的となっている。
Dropboxのセキュリティ問題にメジャーリーグのFacebookページのハッキング、米Reuters NewsのブログプラットフォームとTwitterアカウントの乗っ取り――。こうした出来事が最近相次いでいることは、仕事用と個人用のアカウントでそれぞれパスワードを分け、各パスワードは破られにくい独特のものを設定する必要性を裏付けていると、ソフトウェアセキュリティを手掛ける米CSIDのティム・ブラウン最高技術責任者(CTO)は語る。「1件の小さなハッキングが、別のアカウントやシステムと結び付く。IT部門には、自分たちが守っているのは最も重要でもうけになる情報だという認識が必要だ」(ブラウン氏)
CSIDは、予防措置を強める方法として、ソーシャルメディアやクラウドサービスに多要素認証機能がある場合は、その利用を勧める。加えて、攻撃側にとってどのデータや情報に価値があるのかを見極め、それをセキュリティ対策の優先課題とするよう求めている。「IT部門のセキュリティ対策には、あらゆるデータの保護を目指したアプローチも多い。だが例えば、売り上げに関するデータはどこにでも出回っているものであり、それほど重要性は高くない。一方、わが社の500万の顧客に関する情報は保護しなければならない。知的財産も同様だ。ソーシャルメディアで話題にさせるわけにはいかない」とブラウン氏は話す。
セキュリティポリシーの重要性
ブラウン氏によると、従業員からの情報流出を先回りして予防できる方法はほとんどない。従ってIT部門は、セキュアなパスワードや教育、研修、特定のポリシー利用といった、コントロール可能な要素について警戒を強める必要がある(参考:セキュリティ研修実施で考慮すべきポイント)。
ソーシャルメディアのセキュリティ対策は、10代の子どもを育てるようなものだと話すのは、米調査会社Gartnerのキャロル・ロズウェル氏である。「従業員は、IT部門が『ダメ』といえばいうほど、ソーシャルサイトでやっていいことといけないことの限界を試そうとする」(ロズウェル氏)。組織でFacebookやTwitter、Google+、LinkedInといったソーシャルメディアの利用を認めるのであれば、IT部門にとって最善の策は、会社の戦略をはっきりさせ、潜在的なセキュリティリスクについて従業員に周知させ、警戒を怠らないことだ。
Altimeter Groupの最近の調査によれば、米国企業の80%はFacebookの公式アカウントを持ち、半数近くがTwitterも利用している。だが職場でさまざまなソーシャルメディアサービスを個人的に利用している従業員の数を考慮すれば、この割合は大幅に高くなるはずだと、同社のウェバー氏は指摘する。
「ほぼ全ての企業にポリシーが存在する」(ウェバー氏)。にもかかわらず、ポリシー改定のペースがソーシャルメディア市場の急速な変化に追い付いておらず、ポリシー徹底のための研修や教育を実施していない企業が多いことに驚くと同氏は言う。
Gartnerのロズウェル氏によると、最善の策は、従業員に対して「職務に直結した」ソーシャルメディア利用の研修を実施し、自分自身と会社を守るためにポリシーがいかに重要なのかを認識させることだという。ポリシーと教育が重要なのは、コミュニケーション監視用のツールが充実したメールと異なり、ソーシャルメディアのリスク回避に的を絞ったIT担当者向けツールのほとんどが未熟なためだと同氏は話す。
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