AWSは「誤解」と説明
「迷惑な隣人」でAWSのパフォーマンスが低下? うわさを検証する
クラウドの共有テナントにおいて、ある利用者がリソースを占有すると、他の利用者の仮想マシンで速度低下を引き起こす――AWSのパフォーマンスが変動する理由が、この「迷惑な隣人」問題に起因するという。
「Amazon Web Services」(以下、AWS)を利用する複数の企業が、「迷惑な隣人」によって同社の「Amazon Elastic Compute Cloud」(以下、Amazon EC2)のパフォーマンスが変動すると指摘しているが、米Amazon Web Services(以下、Amazon)関係者は、これを誤解であると述べた。
クラウドコンピューティングにおいて「迷惑な隣人」とは、仮想化されたサーバを共有しているテナントで、リソースを占有しているテナントを指す。このようなテナントは、他のテナントが使用する仮想マシンの速度の低下を引き起こす。
「この『迷惑な隣人』はAmazonの弱点だ」と米西海岸の電子機器メーカーでクラウドサービスマネジャーを務めるデヴォン・ラザラス氏は話す。
「パフォーマンスが重要なアプリケーションを実行するには、適切なインスタンスタイプの中からサイズが最も大きいものを選ぶことが、この問題を回避する鍵となる。このようなインスタンスタイプを選ぶと、理論的には同じサーバでアプリケーションを実行するマシンの数は少なくなる」と同氏は話す。
同氏は次のように続ける。「マイクロインスタンスやスモールインスタンスは、運用には適していない。通常、これらのインスタンスタイプはテストと検証に使う。テストと検証が終わったら、大きなインスタンスに移行する」
Amazon EC2の匿名希望のある利用者は、迷惑な隣人はネットワーク帯域幅の問題も引き起こしていると話す。
このような意見は、Amazonの競合企業である米Virtustreamの委託により米Cloud Spectatorが実施したアンケートで明らかになった。このアンケートでは、AWSはクラウドコンピューティングのパフォーマンスに関して競合サービスの中で最下位にランクされている。このアンケートが競合企業の委託で実施されたことを考慮すると、多少正確さに欠けるかもしれないが、Amazon EC2のパフォーマンスに関する利用者の見解を裏付けるデータの1つであることは間違いない。
一方、AWS関係者は、パフォーマンスに変動が見られるかもしれないが、Amazon EC2では迷惑な隣人の問題は起きていないと話す。
AWSでデータサイエンスのジェネラルマネジャーを務めるマット・ウッド氏は「利用者からはインスタンスによってパフォーマンスに差があるという報告を受けているが、その原因は『ハードウェアを共有している』他のユーザーではない」と語る。
同氏は次のように続ける。「可能性としては、Amazonが自社のホストサーバをリフレッシュしたことが考えられる。プロセッサが速くなったサーバでインスタンスが再起動されたことから、利用者はホストで競合が発生してパフォーマンスが低下していると考えたのかもしれない」
ウッド氏は次のように話す。「概要では、CPUレベルでハードウェアをパーティショニングし、プロビジョンドIOPSと『Amazon Elastic Block Store』(Amazon EBS)用に最適化したインスタンスを提供してI/Oパフォーマンスが安定するようにしている。C3インスタンスでは、シングルルートI/O仮想化も利用してネットワークを拡張している」
しかし、利用者の見解は評価に値するとアナリストたちは述べている。
米ボストンに本社を置く米451 Groupのアナリスト、カール・ブルック氏は次のように話す。
「『迷惑な隣人』は、リソースのオーバーサブスクリプションが発生している状況でのみ現れる。この現象は、Webホスティングサーバや仮想プライベートサーバでよく見られる。AWSではオーバーサブスクリプションは発生していないため、『迷惑な隣人』は存在しない。
また、AWSでは、ホストシステムの他の部分――RAM、帯域幅、ディスクへのトラフィックなど――に過剰な負荷が掛かっている。AWSはこの影響を緩和する追加の有料サービスを提供しているというが、ユーザーのエクスペリエンスに変化は見られない。厳密には『迷惑な隣人』ではないが、隣人がうるさいことが原因で問題が発生していることに変わりない」
「クラウドコンピューティングに見られるパフォーマンスの変動は、どのサービスプロバイダーでも予想されることで、適切な対応策は、スピンアップするインスタンスを増やすことだ」と述べる利用者もいる。
米ボストンに本社を置く金融データ分析会社のCabot Researchでソフトウェアエンジニアを務めるブライアン・ターボックス氏は、次のように指摘する。「スポットインスタンスは1つ2セントだ。スピンアップするインスタンスを増やすことに興味はない。エラー、遅延、スループットの変動は想定すべき事態であり、このような事態に対応できるシステムを構築する必要がある」
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