子ども向けアプリ開発などに生かされる感性も
女性開発者が体験した、ソフトウェア開発“業界あるある”
「一日中PCの前に座り黙々と作業する」とイメージされるソフトウェア開発の現場。それを払拭するような女性開発者の活躍が著しい。ある女性開発者に業界の現状、開発者として働く理由や喜び、苦悩などを聞いた。
ソフトウェア開発業界で女性がキャリアを積む道は依然として険しい。挑戦してはみたものの、文化的な問題や仕事量が原因で脱落してしまう女性も多い。キャスリン・ロトンド氏は自身の体験を踏まえて、「この問題は解決が必要だ」と話す。同氏はフリーランス開発者として独立してまだ1年だが、それまでにさまざまな企業で経験を積んできた。
ロトンド氏がソフトウェア開発業界に入ったきっかけは、「Adobe Flash」(Flash)を使ったグラフィックス操作に興味を抱いたことから。「Flashは、ビジュアルな処理ができると同時に自分の分析能力も生かせるという点で私にぴったりだった」
Flashへの情熱から端を発して、やがて仕事の内容は別の方向へ進んだ。そうして今は、タブレット用アプリを作れることに喜びを感じている。それに開発コミュニティーには面白くて賢い人がたくさんいるので、そこに参加することは楽しいという。
女性から見た「ソフトウェア開発者」という職業へのイメージ
ロトンド氏が参加する喜びを感じているソフトウェア開発コミュニティーも、決して完璧とはいえない。この業界に女性を増やそうとする動きは進み始めているものの、女性に重点を置いた啓発活動はまだまだ不十分だ。「女性の関心を集めることと、女性がこの業界に入った後、疎外されないようにすることは別の問題」とロトンド氏は話す。
開発者に対するイメージや考え方を変える必要がある。特に、大学の専攻や職業の選択を始める十代への対策が重要だ。「プログラマーというものに固定観念を抱かれて、『きっと一日中職場にこもりきりで働く仕事なんだろう』と思われてしまっては困る」とロトンド氏は話す。「そうなれば、もっと人と関われる業種にしようと思われかねない」
女性がコンピュータ業界に進むことを決めたとしても、そこで終わりではない。男性中心のこの業界で女子学生の就職希望者をつなぎとめるには、女性もきちんとキャリアを積める環境にしなければならない。「次にやるべき重要なことは、卒業後に入ろうとする企業が女性を受け入れる社風であるか確かめることだと思う」とロトンド氏は言う。
女性ならではの視点で開発スキルの向上を目指す
ロトンド氏が開発者として成長したのは、何年もの訓練があってこそだった。かつて、ある業務でコードを書くのに2日間苦戦した揚げ句、どうしても分からない問題について上司に相談したことがあった。上司に話を聞いてもらい、助言してもらい何をどうすればいいのかようやく分かった。そのとき上司は「それまでに書いたコードは全部破棄して最初からやり直せ」と指示したという。
その発言は、そこまでに投入した時間と労力が無駄だったという意味ではない。上司は、新しい見方でやり直すことを勧めたのだった。「2日間仕事したことで、問題を理解し、考えをはっきりさせることができた。そのときに書いたコードはもう役に立たなかった」とロトンド氏は振り返る。「だから紙くずのようにゴミ箱へ捨ててもよかった」
実体験に加え、ロトンド氏は本を読んだり、ポッドキャストを聴いたりして知識を蓄えた。中でも『Design Is a Job』(Mike Monteiro著)は役に立った。デザイナーに限らず、開発者にも有用な内容で、クライアントとの関係を築くヒントが得られるという。
ロトンド氏は今、前向きで先進的な発想を持って現在の仕事に取り組んでいる。他の2人の開発者と一緒に作ろうとしているのは“Monkey SEE, Monkey DO(お猿の物まね)”というiOSアプリだ。絵と紙とマジックテープを使って子どもが行動予定を学ぶゲームに発想を得て、ワイヤレス端末で使える現代的なツールにしたいという。
ロトンド氏は、将来のことはまだ分からないが、子ども向けアプリと大人向けアプリのソフトウェア開発の違いについて、それに女性が出産後も同じ職場で働くことの重要性について、世の中に発信していきたいと語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[NTTPCコミュニケーションズ株式会社] 「回線速度不足」だけが原因ではない? Web会議の遅延を解決する方法とは -
製品資料
[東京エレクトロン デバイス株式会社] 工場の可用性向上に重要な「7つの領域」と対策 OTセキュリティ強化の基礎知識 -
製品資料
[リコージャパン株式会社] 問い合わせ対応で本来の業務が進まない、総務や情シスの負担をどう減らす? -
製品資料
[リコージャパン株式会社] 自社データから高精度な回答を生成、簡単に生成AIチャットボットを構築する方法 -
技術文書・技術解説
[アトラシアン株式会社] IT運用や従業員サポートは生成AIでどう変わる? 使い方や導入の流れは?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
全社標準Copilotに絶望? MS Copilotで問い合わせ6割減できた企業は何が違った
-
2
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
3
「AI活用を前提とした業務PCへの移行」に関するアンケート
-
4
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
5
身代金支払いは逆効果 情シスのためのランサムウェア対策ガイド2026
-
6
多要素認証導入済みでもランサムウェア被害に 復旧費用は平均2億7000万円
-
7
DXを阻む「動くだけ」のレガシーシステムに決別するための生成AI活用術
-
8
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
9
「ITインフラとデータ保護・バックアップ対策」に関するアンケート
-
10
自社を守る「SCS評価制度」活用法 7割の企業が取引先起点の情報漏えいに直面
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
2
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
3
生成AIで文書活用を進めるには? 効率化と安全性をどう両立する
-
4
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
5
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
「スクラム」と「カンバン」の違いとは? アジャイル型開発手法を徹底比較
-
8
AI時代に成功するための「ナレッジマネジメント」ベストプラクティス
-
9
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
10
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー