「Google Cloud Dataflow」発表
Googleの新サービス投入で風雲急を告げるビッグデータ分析市場、次の主戦場は?
米Googleが発表したCloud Dataflowは、米Amazonの「Amazon Kinesis」や「Apache Hadoop」を基盤とした他のビッグデータサービスに対する大きな挑戦といえる。
米Googleは2014年6月末に「MapReduce」の後継に当たるビッグデータクラウドサービス「Google Cloud Dataflow」を発表し、企業のIT部門から注目を集めた。
Cloud Dataflowは、データのパイプラインを作成するマネージドサービスで、ストリーミングまたはバッチ処理されたデータを収集して分析することを目的としている。Cloud Dataflowを利用すると、基盤となるインフラに関係なくデータを観察して洞察(インサイト)を得られるようになるというのがGoogleの主張だ。
「Googleは決めたことを迅速にやってのける」
Cloud Dataflowの発表は、米Amazonの「Amazon Kinesis」や「Apache Hadoop」を基盤とした他のビッグデータサービスに対する大きな挑戦だ。「プラットフォームという観点でCloud Dataflowはビッグデータに近い」と米Forrester Researchでビッグデータアナリストを務めるブライアン・ホプキンス氏はいう。
「これは単なる一歩にすぎないが、大きな一歩前進だ。Googleが何かを決断すると大きな影響力を持つ。というのも、Googleは決めたことを非常に迅速にやってのけるからだ」(ホプキンス氏)
Amazonは、インフラサービスの共通項を最小限に抑えている。つまり、ユーザーは独自のビッグデータサービスを構築することが可能だ。米IBMは独自のビッグデータと他のサービスのβ版を「IBM BlueMix」で提供している。だが、これらのツールがどのように連動するのかは不明瞭だとホプキンス氏は指摘する。
ビッグデータクラウドサービスに対抗するGoogle
デジタル業界の小規模な新興企業であれば、Googleが提供する「Google BigQuery」などの他のビッグデータクラウドサービスは問題なく機能するかもしれない。だが、規模が大きく厳しい規制を受けているエンタープライズクラスの企業では、全てのデータをパブリッククラウドに展開することは望まないだろうとホプキンス氏はいう。クラウドモデルではハイブリッドが主流になりつつある。Cloud Dataflowには、リアルタイムで大きなデータセットを比較できるという柔軟性がある。その情報がオンプレミスとパブリッククラウドのどちらにあるかは関係ない。
10年前のGoogleはMapReduceの開発に主眼を置いていた。だが、Cloud Dataflowの発表は、同社が膨大なデータセットを操作するMapReduceの機能を疑問視していることを暗に示唆しているようなものだ、と話すのは米Cloud Technology Partnersで上級副社長を務めるデイビッド・リンティカム氏だ。MapReduceでは問題を回避するためにコードの書き直しや増強を行っていた。これに対し、Cloud Dataflowではパイプラインを使用してプロセスを簡略化している。
「ビッグデータとストリーミングされるデータを組み合わせることは、多くのユーザーが求める重要なツールになっている。Googleは、そのようなアーキテクチャを提供する上で開発者を取り込むように賢い対応を行っている」(リンティカム氏)
「Cloud Dataflowはデータの分析結果に基づいて企業が実際のビジネス上の決断を下せる形で情報をストリーミングしやすくする」と米調査会社のIDCでアナリストを務めるラリー・カルバルホ氏は話す。
Googleがこれらの新しいサービスを同社の幅広い製品と統合して、広範なエンドユーザーからデータを取得できれば、他社との差別化を図り、クラウド市場の覇権を握っているAmazon Web Services(以下、AWS)との差を縮められるかもしれないとカルバルホ氏は見ている。
「市場への参入率を考えると、Googleは非常に急速な進歩を遂げている。やるべきことは山積みだが、正しい方向に進んでいることは間違いない」(カルバルホ氏)
Googleは2014年1月に32億ドルで米Nest Labsを買収した。Nest Labsは家庭向けの煙探知機とサーモスタットのメーカーだ。この動きはCloud Dataflowと連動していることが見て取れる。Googleは大容量の高速データが持つ能力を活用しようとしている。
「この原動力は、ウェアラブルデバイスと『モノのインターネット』(IoT)を取り巻くデータの次の台風の目となるだろう。また、そのデータは顧客を獲得してつなぎとめるために活用できる可能性もある」とホプキンス氏はいう。
Googleによると、Cloud Dataflowは、社内テクノロジーを基盤としている。Googleの社内で公開されているβプログラムであるため、Cloud Dataflowの発表時に価格の詳細や一般提供時期に関する情報は明らかにされていない。
強化されるGoogle Cloud Platform
Cloud Dataflowと同じタイミングで、「Google Cloud Platform」には運用環境の問題を監視してデバッグする機能が幾つか導入されている。「Google Cloud Monitoring」では、最近買収した米Stackdriverのテクノロジーを使用している。また、「Cloud Trace」ではパフォーマンスのボトルネック、「Cloud Debugger」ではアプリケーション開発時の問題を特定するとしている。
モバイルアプリの機能強化に加えて、これらの機能は、GoogleがAWSと同じくらいか、それ以上にクラウド開発者の取り込みに注力していることの表れだとリンカム氏は話す。
開発者以外の目は、最新機能に向けられているかもしれない。最新機能はクラウドベースのソリューションを構築する上で重要だとリンティカム氏はいう。Googleは、自社のプラットフォームを開発者にとってできる限り使いやすいものにしようとしているようだ。長期的には、この戦略がGoogleに大きな勝利をもたらすかもしれない。
「これは賢い選択だ。活用するプラットフォームに関する最大の決定権を握っているのはアプリケーションを開発している技術者だ」とリンティカム氏は語る。
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