「Microsoft Azure」で考える
パブリッククラウド導入におけるSIerの役割とは?
米Microsoftの「Microsoft Azure」などのクラウドプラットフォームには豊富なビジネスチャンスがある。事実、ITソリューションプロバイダーは、Microsoft Azureに付加価値を付けることによってビジネスを拡大している。
パブリッククラウドが混乱を招くテクノロジーだという話は聞いたことがあるだろう。だが、米Microsoftの「Microsoft Azure」のようなクラウドプラットフォームは、ITソリューションプロバイダーに無限のビジネスチャンスをもたらしている。そのため、この決まり文句を確認しておきたい。ITソリューションプロバイダーはMicrosoft Azureを収益化しているだけではなく、クライアントに付加価値を提供している。
「Microsoft Azureのパートナーは、さまざまなビジネスモデルによってMicrosoft Azureを取り巻くクラウドビジネスのチャンスを物にすることが可能だ。例えば、プロジェクトベースのサービス、マネージドサービス、知的財産/アプリケーションを配信することができる」とMicrosoftのワールドワイドパートナーグループのクラウドパートナー戦略部門でシニアディレクターを務めるジョシュ・ワルド氏は話す。
米New SignatureはMicrosoft製品のシステムインテグレーターで、マネージドサービスプロバイダーとしても事業を行っている。New Signatureの最高経営責任者(CEO)を務めるクリストファー・ヘルツ氏は、ワルド氏の意見に同意して次のように語っている。「このようなプロジェクトは大きな多様性を秘めている。他のクラウドプラットフォームとの類似性はあるかもしれない。だが、Microsoft Azureは非常に柔軟性の高いプラットフォームだ。私たちには無限のチャンスがある」
「Microsoftパートナー企業は、さまざまな方法でMicrosoft Azureを販売できる。例えば、Microsoftのオープンライセンスプログラムの下で、またはMicrosoft Enterprise Agreementの一環としてパートナー独自のマネージドサービス/アプリケーションとして再販することが可能だ」(ワルド氏)
相関関係が見られるパブリッククラウドと企業の成長
New Signatureは、全てのMicrosoftソリューションとプラットフォームを扱っている。オンプレミスのものだけでなく、ハイブリッドとパブリッククラウドにも対応している。だが、先導的な役割を担っている配信モデルは1つだ。「この4年間、当社はパブリッククラウドが先導的な役割を担うようにビジネスの転換を図ってきた。その主な理由は、経済状況が当社の顧客にとってプラスに働き、顧客が最新かつ最高のテクノロジーを活用するお手伝いをしたかったからである。そして、そのテクノロジーはオンプレミスではなく、パブリッククラウドにあると考えたからだ」とヘルツ氏は振り返る。
Microsoft Azure対応ソリューションの提供を専門としているITソリューションプロバイダーも存在する。米10th Magnitudeはその一例だ。CEOのアレックス・ブラウン氏によると、10th MagnitudeはMicrosoft Azureを専門とした米国内有数の企業だという。「非常に刺激的な毎日を過ごしている。クラウド市場では堅調な成長が続いている。クラウド市場の成長率と同じペースで当社も成長している」とブラウン氏は語る。
「起業当時、当社の顧客基盤は中小企業に偏っていた。だが、起業から18~24カ月の間に大企業による導入が増え、顧客の割合が変化した。現在は、大企業、中堅企業、中小企業の適切なバランスが取れている」(ブラウン氏)
ビジネスチャンスを理解する
ITソリューションプロバイダーがMicrosoft Azureを収益化する方法の1つは、クライアント企業がMicrosoft Azureを使用してできることを見つける作業のサポート提供だ。「Microsoft Azureという新しいサービスの導入に着手することを困難だと感じている企業も存在する。そのような企業にとってMicrosoft Azureの用途を特定するのは至難の業だ。当社では、この知識のギャップに対応するサポートを提供している。まず、分析を行って、顧客の現在と未来の状態を理解する。それから、顧客の目標を達成する上でMicrosoft Azureがどのような機会をもたらすのかを顧客に説明している」(ヘルツ氏)
ヘルツ氏は、このような機会を「インフラ」と「開発」の2種類に分類できるとし、次のように話す。「インフラについては、従来のインフラをMicrosoft Azureに移行するために顧客と話し合うことになる」
これはNew Signatureが自社のシステムに対して取ったプロセスと似ている。New Signatureは、高可用性を実現するために複数のデータセンターを運用し、サーバを配置していた。「このような状況では機器をリースまたは購入する必要があった。データセンターのラックスペースをリースし、サーバを管理して、インフラを管理する必要もあった。この状況から脱却するために、全てのインフラをPaaS(Patform as a Service)およびSaaS(Software as a Service)としてMicrosoft Azureに移行した。その結果、複雑さを緩和して、インフラの管理に掛かる時間を削減することに成功した」とヘルツ氏は語る。
このインフラの移行が開発の機会をもたらす。「コアクラウドインフラの移行については活発な動きが見られる。導入の初期段階が終わり、主な動作原理に慣れたときに、開発の依頼が発生することが多い」とブラウン氏はいう。
New Signatureと10th Magnitudeは、どちらもMicrosoft Azure対応のソフトウェア開発サービスを提供している。Microsoft Azureパートナーは、Microsoft Azure対応アプリケーションの開発に加えて、完全なライフサイクル管理も提供している。アプリケーションの実行、メンテナンス、改良の全ての作業が完全な外部委託によって行われる。
「クラウドがけん引している力学の1つは、インフラよりも、アプリの戦略的な重要性が高まることだと考えている。現在、インフラの大部分は外部委託によって管理されている。新しいアプリケーションへの投資ではインフラへの投資よりも高額な見返りがあるだろう。そのため、アプリケーションへの投資額が大きくなると見ている。クラウド市場で勝負するならアプリケーションで勝負する必要がある」(ブラウン氏)
ブラウン氏は次のように補足する。「現在、行われているのは大きな導入のライフサイクルだ。このライフサイクルによって、企業に競走上のユニークな優位性をもたらすアプリケーションやモノに対する関心と投資が高まっている。クラウドへの移行は、これまでのような単なる配管工事やモノではなくなっているのが実情だ」
10th Magnitudeは、移行と開発サービスに加えて、DevOpsの計画と実装のサポートも提供している。「パブリッククラウドを採用している企業の大半が、DevOpsについて質問することが分かっている。これらは密接に関係している傾向がある」とブラウン氏はいう。
ブラウン氏によると、これはユニークなサービスだという。そして、「Microsoft Azureを収益化しようとしているMicrosoft Azureパートナーには、無限のチャンスがある」とヘルツ氏と同じ点を強調する。だが、Microsoft Azure関連のサービスを提供することは、ITソリューションプロバイダーにとって、収入源を得るよりも大きな意味がある。
「私たちのミッションは優れたカスタマーエクスペリエンスを提供することだ。つまり、顧客目線の技術的な観点で最適なソリューションを提供しなければならない。クラウドは約4年前から最高のソリューションとして、その地位を確立している。パブリッククラウドを導入するよう顧客に働きかけることは、顧客のビジネスにもプラスの影響がある。私たちは、顧客とパブリッククラウドの橋渡しをしたいと考えている」(ヘルツ氏)
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