ストレージの基本を解説
結局のところNASは、SANやDASとどう違うのか(1/2 ページ)
企業がNASを使うメリット、SANやDASとの違い、企業のストレージ計画にNASを組み込む方法を解説する。
ここ数年、ストレージの性能は右肩上がりに向上している。年を追うごとに多数の新機能が追加されているため、データストレージの管理者は、NAS、DAS、SANというストレージの選択肢の中から自社のニーズに最適なものを決めあぐねていることだろう。
本稿では、NASの特徴、NASと競合テクノロジーとの違い、ネットワーク接続ストレージデバイスの導入を決める前に検討すべき要素について説明する。
関連記事
NAS、DAS比較
NAS選びのポイント
NASかオブジェクトストレージか
NAS市場トレンド
NASとは
端的にいえば、NASとは、ネットワークに直接接続されたストレージアプライアンスのことだ。ネットワークに接続している他のデバイスと同様、NASにはIPアドレスが割り当てられている。通常、サーバとNASの間では、TCP/IPベースで通信が行われている。また、NASは旧来型のファイルシステムを使用しているため、ファイルレベルでストレージにアクセスできる(通常、ファイルへのアクセスはファイル共有によって行う)。
SANとNASは、略語が似ている上、どちらもネットワークストレージの種別を表すことから、ストレージ初心者がこの2つを混同してしまうことは少なくない。SANとNASの主な違いは、SANストレージの方がよりハイエンドなストレージ製品ということだ。SANは、ストレージにブロックレベルのアクセスを提供する専用ネットワークである。一方、NASはネットワークに接続されているが、専用のネットワークを必要としない。
SANのネットワークはファイバーチャネル(FC)を基本としているが、幾つか例外がある。FCスイッチは、ストレージに冗長なアクセスを提供するように配置されている。それから、NASはIPアドレスベースであるのに対し、SAN環境では、SCSIプロトコルを使用してストレージと通信する。
DASは、サーバのローカルストレージのことを指す。また、DASという言葉は、サーバ内蔵のディスクを言及していることもある。さらに、ストレージコントローラーやUSB接続経由でサーバに直接接続されている外部ストレージアレイ(ネットワーク接続でアタッチされていない外部ストレージアレイ)を指す場合もある。
NASの必要性
実装する前に、NASの用途について検討されたい。NASは汎用的なストレージとして考えるのが良いだろう。一部のユースケースでは非常に重宝するが、最適な選択肢にならない場合もある。
通常、NASにはファイルレベルでアクセスできるため、非構造化データを保存するのに適している。そのため、経年劣化したファイルサーバの代わりに使用するストレージアプライアンスを探しているなら、NASを選ぶと良いだろう。だが、全てのNASデバイスがNTFSアクセス権の使用に対応しているとは限らない。
デバイスによっては、NASは構造化データの格納先として不向きなことがある。NASのデータベースにデータを保存すべきでない理由が実質的になかったとしても、NASデバイスでは、データベースを効率的に運用するために必要なパフォーマンスを満たせない可能性がある。NASデバイスに高速なディスクを搭載しても、ほぼ間違いなくネットワーク接続が制限要素となる。このようなパフォーマンス上の制限や他の要因を理由に、多くのアプリケーションベンダーは、データベース駆動のアプリケーションでNASをサポートしていないのが実情だ。
NASやSANなどのテクノロジーは、複数のサーバを共通のストレージデバイスに接続する共有ストレージとして使用することもできる。例えば、フェイルオーバークラスタでは共有ストレージを使って、全てのクラスタノードが同じデータにアクセスできるようにするのが一般的だ。
共有ストレージにNASを使用するのが現実的な選択肢かどうかを判断するときには、ソフトウェアベンダーの要件とNASの機能を確認する必要があるだろう。NASには、iSCSI接続に対応しているものがある。NASがiSCSIに対応しており、使用しているソフトウェアがNASの利用を特に禁止していないなら、共有ストレージメディアとしてNASを利用することは可能だ。ただし、NASがSANと同じレベルのパフォーマンスを提供しない点には留意されたい。
NASを仮想マシン(VM)の保存先と見なしている企業もある。一見すると、NASは一般的に(少なくとも相対的には)大容量かつ低コストで、フォールトトレランスを実現するように構成できるため、仮想マシンにNASを使用するという発想は妥当であるように思われる。だが、NASにVMを配置する前に次の2点について検討されたい。
- パフォーマンス
NASデバイスでは、ネットワーク接続がパフォーマンス上のボトルネックになることが多く、これがVMのパフォーマンスを低下させる原因となる恐れがある。
- ベンダーサポート
例えば、米Microsoftの「Hyper-V」仮想マシンはNASに保存できるが、NASデバイスがSMB 3.0に対応していることが条件となる。
バックアップアプリケーションがブロックレベルのRAWファイルを保存する必要がない限り、NASはバックアップの保存先としても使用できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[セコムトラストシステムズ株式会社] SCS評価制度で重要性が増す「SASE」 制度の要求事項と機能はどう関係する? -
製品資料
[株式会社オプティム] SaaS管理やID管理などの「資産管理」をまるごとカバーする方法とは? -
製品資料
[株式会社kickflow] 3分でわかる「kickflow」 どのようなワークフローを実装できる? -
事例
[株式会社kickflow] 出前館も実践 ワークフロー刷新で得られる効果とは? -
事例
[株式会社kickflow] ワークフロー活用事例:社内システムとのAPI連携で業務効率化&統制強化を実現
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
2
1200万円のSaaS導入を回避 スギ薬局「運用費10万円」のAIエージェント構築術
-
3
年収700万超エンジニアに共通するスキルと「もっと勉強すべきだった分野」
-
4
「企業におけるAIの運用」に関するアンケート
-
5
「完璧な設計」なのに3000万円溶けた AWSの失敗事例から学ぶ3つの教訓
-
6
「企業内サーバ環境の利用実態」に関するアンケート
-
7
本当にそのIBM iに問題はない? ブラックボックス化と属人化を防ぐ第一歩
-
8
脱VMwareか、継続か? 仮想化ソフト主要6製品の機能とスペックを徹底比較
-
9
「シェルコード」とは? 凶悪なマルウェア感染を可能にする手口
-
10
マネジメント未経験でも大手に行くには? 企業規模で変わる情シス転職の勘所
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
2
バックアップは“取っているから大丈夫”なのか? ランサムウェア時代の備え方
-
3
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
4
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
5
5分で分かる Microsoft 365のデータ損失に備えるためのバックアップの仕組み
-
6
AI活用を停滞させる「2:6:2の壁」を乗り越えるためのポイントとは?
-
7
ソフトウェア開発の属人化と手戻りをどう防ぐ? 速さと品質を両立させる方法
-
8
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
9
複雑な組織構造で一度は頓挫した電子化、東京女子医科大はどう全学展開したか
-
10
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー