スケールアップ型NASとスケールアウト型NAS。両者を比較検討する際は、性能の違いとその適用分野を考慮する必要がある。
文書やスプレッドシート、画像、動画などの非構造型データの洪水はとどまるところを知らず、多くのIT部門は自社のファイルベースのストレージインフラに注意を向けざるを得ないのが実情だ(関連記事:ゼタバイト時代の企業ストレージ環境とは)。そして最後には、伝統的なスケールアップ方式か、それともスケールアウト方式のNAS(Network Attached Storage)ボックスのどちらを選ぶかという決断を迫られることになる。
従来型のNASボックスは容量が固定されているのに対し、スケールアウト型NASシステムは拡張可能で、何P(ペタ)バイトものデータを保存・管理できる。しかしこの拡張性の高さにはトレードオフも伴う。
従来のNASは1基あるいは2基のコントローラー(NASヘッドとも呼ばれる)、あらかじめ設定された数量のCPU、メモリ、ドライブスロットで構成される。NASデバイスの限界に達すると、ユーザーは新しいシステムを購入することで容量の増加とパフォーマンスの強化を図る必要がある。従来型NASはスケールアップ型NASと呼ばれることもある。パフォーマンスと容量を増強することで既存のアーキテクチャをアップグレードできるからだ。
これに対し、スケールアウト型NASは、クラスタ化されたノードの追加によって拡張する。スケールアウト型NASは主として専用OSを搭載したx86サーバで構成され、ストレージは外部ネットワークを通じて接続される。ユーザーはクラスタを単一のシステムとして管理し、データはグローバル名前空間あるいは分散ファイルシステムを通じて管理するため、データの実際の物理的位置を意識する必要はない。
「従来型NASとスケールアウト型NASはともに市場が拡大しているが、両者のユースケースは分化しつつある」と指摘するのは、米調査会社IDCでストレージシステムと経営戦略を担当するリック・ビラーズ副社長だ(関連記事:中堅・中小企業向けNAS市場が活況化した理由)。「従来型NASは仮想サーバ環境で重要な役割を果たすようになってきた。一方、スケールアウト型は、多くのクラウド環境やアーカイブ環境の基盤として利用されており、出荷容量ベースで市場を支配するようになるだろう」
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