近年、ストレージ分野ではデータの爆発的な増加に伴う容量の拡張性が注目されている。しかし、増加するデータをいかに効率的に管理、利用するかという点にも注力すべきである。それを実現する新しい技術を紹介する。
サーバやストレージの仮想化、クラウドコンピューティングなどの普及によって、ユーザーは物理的な格納先を意識することなくデータにアクセスすることが可能になった。また、文書ファイルや画像、動画などの非構造化データが急増したことで、ストレージ容量の増大と併せてそれらのデータを効率的に管理することが求められている(関連記事:ゼタバイト時代の企業ストレージ環境とは)。そうした中、新しいデータ管理技術として注目されているのが「オブジェクトストレージ」だ。今回は、オブジェクトストレージの概要を解説する(編集部)。
これまでデータの格納やその管理方法は、ストレージの接続形態に依存してきた。現在広く使われている「DAS(Direct Attached Storage)」「NAS(Network Attached Storage)」「SAN(Storage Area Network)」の3種類のストレージ接続形態ではそれぞれデータのアクセスおよび管理方法が異なる。
例えば、DASはストレージに直接接続するため、物理的にセキュアな点が利点だった。その一方で、ストレージ容量の拡張性やデータ共有が難しかった。DASの欠点を補うために誕生したのがNAS、SANである。NASはファイル単位でデータを管理し、セキュリティを保ったまま複数のホストからデータ共有できることが利点。しかし、ファイルシステムの容量の拡張性に一定の限界があった。また、LUN(論理ユニット)単位でデータにアクセスするSANでは、単一ホストのみがそのLUNへのアクセスや制御を実施するため、データの共有が難しかった。
その後、「データ共有と容量の拡張性を両立し、かつ急増するデータを効率的に管理したい」「データへの不正アクセスを防止するセキュリティ面も重視したい」というニーズへの解決策として、幾つかの新しい技術が検討されてきた。例えば、以下のようなものである。
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