クラウドで身近になる機械学習
GoogleやAWSが提供する機械学習サービス、ビジネスにどう活用する?
コンピューティングの新境地ともいえる機械学習が、パブリッククラウドのおかげでかつてなく手頃で使いやすくなった。ただし慌てて飛びつく必要はない。
機械学習はかつての人工知能のコンセプトに基づく。1959年、継続的に更新しなくても学習できる能力を持ったシステムと定義されたのが始まりだった。機械学習はパターン認識やコンピュータ学習から生まれ、最近になって大手パブリッククラウド事業者が独自の機械学習サービスの提供に乗り出したことから脚光を浴びている。
機械学習の応用例
現代では機械学習といえば、一般的にはデータのパターンを把握して学習する能力を持ったアルゴリズムの研究を指す。静的プログラミングよりも優れたアプローチとする見方も多い。機械学習は人間が経験を通じて学習するやり方をまね、手作業で新しいコードや設定情報を追加しなくても、時間の経過とともに進歩する。
クラウドのおかげで機械学習はより使いやすく、手頃で役に立つものになった。今や、コンピューティングやストレージは購入せずに、レンタルで利用できる。ユーザーは、オンプレミスハードウェアに比べてごくわずかなコストで、ペタバイト級のデータを、機械学習アプリケーション用に利用できる。機械学習があらためて注目を集めているのは、機械学習の昔ながらの機能そのものというよりも、この技術の新たな機能やコストに由来するものだ。
一般的な機械学習の使用事例には、不正検出、在庫管理、モノのインターネット内部のマシンの制御などが挙げられるが、データのパターン把握の恩恵を受けられる用途であれば、ほぼ何にでも応用できる。
他にも機械学習のより高度な応用もある。例えば、MIT Sloan Management Reviewに掲載された「Sales Gets a Machine-Learning Makeover」という記事の中で、Accenture Institute for High Performanceは、年商5億ドル以上の企業を対象にした調査結果を紹介している。調査対象の企業の76%は、機械学習を使って売り上げの増大を図る計画があると回答した。そのために機械学習を使って予測の精度を高め、それに従って営業リソースを割り当てるとしている。
パブリッククラウドにおける機械学習
Google Cloud Platformの「Google Cloud Machine Learning」と、Amazon Web Services(AWS)の「Amazon Machine Learning」は、パブリッククラウド機械学習サービスの筆頭事例に挙げられる。いずれもそれぞれの環境内で機械学習技術を提供し、自社のクラウドプラットフォーム上でのアプリケーション開発に対する関心を高めている。両社とも機械学習サービスと、データ源となるビッグデータ管理システムを、低コストで提供している。
プロバイダーの選定に当たっては、機械学習に対するニーズの全局面と、パブリッククラウド事業者がそのニーズを満たせるかどうかを検討する必要がある。機械学習サービスそのものだけでなく、そのクラウドプラットフォーム上でデータ、ミドルウェア、分析機能がいかに連係してビジネス問題を解決できるかも考慮しなければならない。
パブリッククラウド事業者の機械学習システムでは、開発者が機械学習機能をアプリケーションに取り入れるためのソフトウェア開発キットとアプリケーションプログラミングインタフェースも提供する。これは、機械学習能力とその技術の実際の利用の橋渡し役となる。例えば、組織はローンアプリケーションの不正について、そのローンアプリケーション内部の過去と現在のデータのパターンに基づき判断できる。
パブリッククラウドの機械学習サービスには難点もある。まず、そのパブリッククラウド事業者のネイティブのサービスを使わなければならない。つまり、データを、他のクラウドやオンプレミスに移植しなければならない場合は問題が生じるかもしれない。
第2に、多くの企業は、機械学習を過剰に使って、実際にはこの機能を必要としないアプリケーションにまで実装する傾向がある。機械学習は、手順性の強い単純なビジネスプロセスにとっては行き過ぎだ。単純な構造化された連続的処理を行うアプリケーションは一般的に、機械学習には向かない。例えば売り上げの記録や出荷の追跡など定義が確立されたプロセスの処理においては、機械学習の真の恩恵は受けられない。
もちろん、そうした評価をする前に、全てのアプリケーションの条件について検討しなければならない。飛びつく前にまず、AWSやGoogleといったプロバイダーの機械学習サービスの違いを入念に調べ、全てアプリケーションがこの技術に適しているわけではないと認識する必要がある。
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