AWSと比べて何が足りない?
Google Cloud Platformは業務アプリケーションの移行先となるか
Googleのクラウドサービスはビジネスユーザーを考慮し、2016年に大幅な進化を遂げている。こうした改善は2017年にも続きそうだ。
Amazon Web Services社が提供するパブリッククラウド「Amazon Web Services」(以下、AWS)は好評を博している。その結果、クラウドサービスとして利用できる他の大手競合インフラが見逃されがちになっている。例えば、Googleの「Google Cloud Platform」(GCP)などがある。多くのユーザーは、Googleの「Google Apps for Work」(2016年9月、「G Suite」に改称)を介してGoogleのクラウドサービスに慣れ親しんでいる。だがGCPにとってAWSは、クラウドサービスの手ごわい競合相手として立ちはだかっている。その原因は同社のIaaS(Infrastructure as a Service)の「Google Compute Engine」(GCE)とPaaS(Platform as a Service)の「Google App Engine」(GAE)にある。
Googleは、ビジネスユーザーの関心を高めることを目的とした一連の対策を2016年に講じている。とはいえGoogle Cloud Platformとオンプレミスのレガシーなワークロードを統合するという観点では、まだやるべきことがあるのが実情だ。
本稿では、2016年10月時点でのGoogle Cloudの進展について解説する。具体的には、Google Cloud Platformに対して最近行われた更新やクラウド管理者が2017年のウィッシュリストに持ち越した項目について紹介する。
併せて読みたいお薦めの記事
Google Cloud Platformの特徴
競合と比べたGoogle Cloud Platform
Google Cloud Platformのサービスと機能
Google Cloud Platformは、5つのリージョンにある、冗長構成がとられたデータセンターで稼働している。また2017年までに幾つかのリージョンが追加で開設する予定だ。Google Cloud Platformは、Googleの「検索」「Gmail」「マップ」「YouTube」などのコンシューマーサービスと同じインフラおよびデータセンターを基盤としている。Googleに匹敵する規模でハイパースケールインフラを構築、最適化、管理できる企業はほとんどないだろう。
AWSと同様Google Cloud Platformでは、接続はされているが、地理的に分散されたインフラをリージョンやアベイラビリティゾーンごとに用意している。リージョンは、近い場所のデータセンターをグループ化して、サイトレベルの自動的な冗長性を実現している。一方アベイラビリティゾーンは、分離・独立した広範囲にわたるリージョンで構成されている。Google Cloud Platformは、リージョン間のデータを同期することで、待ち時間を短縮しパフォーマンスを向上している。
Google Cloud Platformのサービスは、主に以下の4つのカテゴリに分類できる。
- 計算:Google Compute Engine(IaaS)、Google App Engine(PaaS)、「Google Container Engine」(一連のDockerコンテナイメージで、Kubernetesによるクラスタ管理と自動化が可能)
- 保存:「Google Cloud Storage」
- ネットワーク:「Google Cloud DNS」「Google Cloud Interconnect」
- データベース:「Google Cloud SQL」「Google Cloud Datastore」「Google Cloud Bigtable」
価格面での主な差別化要素
Google Cloud Platformは、他のIaaSに比べ、非常に細かい請求処理とシンプルなモデルの従量制割引を用意している。価格構成の主な特徴は以下の通りである。
分単位の細かい計算
コンピューティングインスタンスの使用状況は分単位(最低10分から)で計算される。これに対してAWSは1時間を最小単位とし、端数は丸めて計算される。
継続利用に対する自動割引
インスタンスを1カ月の25%以上使用する場合、追加の使用時間に対して20%の割引が自動適用される。1カ月の50%以上使用する場合と75%以上使用する場合、適用される割引は使用状況に応じて上がる。1カ月常時使用する場合、最終的な割引率は30%になる
カスタムサイズのマシンの種類
全てのIaaSと同様、Google Cloud Platformにはコンピューティングインスタンスの標準的なTシャツサイズ(マシンサイズ)と価格が設定されている。ワークロードが定義済みの種類に合わない場合、ユーザーはワークロードに相応の価格でカスタムサイズを定義することも可能だ。カスタムインスタンスは1~32基のvCPU(仮想CPU)を使用できる。またvCPUごとに最大6.5GBのRAMを搭載することも可能だ。
またGoogleはインフラの低コスト化を反映して使用料金を下げている。その結果、コスト削減を実現できる価格モデルになっている。調査会社であるEnterprise Strategy Groupの委託調査によると、AWSに比べ、Google Cloud Platformを利用すると成熟した業務アプリケーションの導入に掛かるコストを15~50%削減できることが明らかになっている。
改善の余地
VMwareの元CEOであるダイアン・グリーン氏の指導下で、Google Cloud Platformは、ビジネスユーザーの関心が高めるべく、監視、ログ記録、自動化、ID管理、ネットワークの機能面を強化している。またGoogle Cloud Platformは、アプリケーションのコンテナ化に重点を置いている。Googleが導入して効率化を進めてきた技術をパブリッククラウドユーザーに提供している。
ユーザーは「Linux」やMicrosoftの「Windows」アプリケーションを仮想マシンで実行することができる。だがVMwareの「VMware vSphere」やMicrosoftの「Microsoft System Center」など従来のオンプレミスの仮想化管理プラットフォームとGoogle Cloud Platformを統合するのは容易でない。そのため、Google Cloud Platformは、クラウドの導入を渋るユーザーや従来の仮想インフラやアプリケーションをオフロードする場所を検討している企業には選択されにくくなっている。
Google Cloud Platformはクラウドネイティブなアプリケーションに理想的なサービスといえる。特にビッグデータ分析や機械学習を使用するアプリケーションに適している。Google Cloud Platformにはコンテナや自動化の機能も搭載されているため、DevOps、継続的な統合とデリバリーのプロセス、マイクロサービスを基盤とするアプリケーションアーキテクチャを導入している企業に適したプラットフォームとなっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
AI時代の自律的なパートナー 「データエージェント」構築&活用ガイド -
製品資料
使用中のデータを保護して安全な共同開発へ、クラウド時代のデータセキュリティ -
製品資料
“AIによる高速な脆弱性検出”対策を行う、RHELの統合セキュリティ機能とは? -
製品資料
企業ITを支える定番Linuxの運用管理、手動の限界を乗り越える手法とは? -
製品資料
AIとクラウドネイティブの課題を解決する、シンプルで費用対効果に優れた方法
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
2
なぜ人はいるのにDXが進まない? ライオンも直面した“老害”レガシーシステム
-
3
イーロン・マスク氏が生成AI「Grok」をオープン化する“語られない狙い”
-
4
IT人材の42%が転職予備軍 辞めさせない組織の4つの共通
-
5
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
6
GitHubが指摘 AIが書いた「おそらく動くコード」が招くシステム崩壊
-
7
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
8
なぜOpenAIやAnthropicのAIは「脱走」したのか 情シスが迫られるエージェント統制
-
9
ライオンが脱レガシーシステムのパートナーに「Google Cloud」を採用した理由
-
10
Azure Red Hat OpenShiftは脱VMware問題の救世主になるか? 技術資料で解説
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
属人化や仕様バグはなぜ起きる? AI時代に必須のドキュメント文化の作り方
-
2
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
3
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
4
5分で分かる「AI駆動開発エージェント」 要件定義から設計・実装・テストまで
-
5
中小企業必見、Microsoft 365でゼロトラストセキュリティを実現する方法
-
6
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
7
コスト分析で見る「デバイス復旧」の代償 損失額から導きだされた投資戦略とは
-
8
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
9
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
10
オープンウェイトLLMの推論最適化事例:ローカル環境で応答速度を約15分の1へ
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー