買い替えサイクルが長期化
スマートフォンを買い換えない人々 Samsungを悩ませる「本当の問題」
ハイエンドのスマートフォンを中心に買い替えのサイクルが長期化している。Androidスマートフォンで大きなシェアを持つSamsungの決算にもじわりと影響が――。
スマートフォンの購買傾向が変化し、Samsungにそのマイナスの影響が及んでいる。
Samsung Electronics(以下、Samsung)は2017年第3四半期(7~9月期)も残り2週間というタイミングで、新型スマートフォン「Galaxy Note8」を発売した。ほぼ時を同じくして、AppleもiPhoneの最新3モデル「iPhone 8」「iPhone 8 Plus」「iPhone X」を発売している。結果、Samsungの2017年第3四半期のモバイル事業売上高は同年第2四半期と比べて6%減少した。なぜこうなったのか。Samsungは決算報告書において、その理由を「高価格なハイエンドスマートフォンよりもローエンドからミッドレンジの低価格なスマートフォンの販売が伸びたから」と説明している。主要な海外顧客によるLTE投資が減速した影響もあるという。
同じスマートフォンを1年半から2年利用
ただしSamsungのモバイル事業の売上高にとって最大の問題は別にある。調査会社J. Gold Associatesの創業者兼主席アナリストであるジャック・ゴールド氏によれば、昨今は個人ユーザーも企業ユーザーも同じスマートフォンを1年半から2年ほど使い続けるようになった。そのためSamsungの最新のハイエンドスマートフォンを購入しようという潜在的な需要自体が縮小しているという。
「モバイル市場の本当の問題は、人々がスマートフォンを以前より長く使い続けるようになったことだ」とゴールド氏は語る。
かつてエンドユーザーは新機種が出るたびにスマートフォンを買い替えていた。ソフトウェアや機能が大幅に向上されていたからだ。今もローエンドモデルにはこれが当てはまる。だがハイエンドスマートフォンに関しては、ユーザーに最新機種の購入を決断させるほどの十分な機能強化を図れていないのが現状だ。
調査会社Counterpoint Researchによれば、スマートフォンはローエンドからミッドレンジ市場の方が競争が厳しいが、Samsungは「Galaxy J7」などのミッドレンジモデルで世界的に高い人気を維持している。一方、「Galaxy S8」や「Galaxy S8+」やGalaxy Note8といったSamsungのハイエンドモデルは米国のハイエンドスマートフォン市場において、Appleの「iPhone 7」や「iPhone 7 Plus」の他、iPhone 8やiPhone 8 Plusを相手に苦戦を強いられている。
ゴールド氏は、Samsungのモバイル事業売上高が減少した理由として、2017年第3四半期の大半の期間にわたりハイエンドな新機種が不在であったことを挙げる。Galaxy Note8が発売されたのは9月中旬になってからだった。
「既にGalaxy Note8は発売からしばらくたっており、売れ行きはこの先少しずつ鈍っていくだろう」とゴールド氏は語る。
SamsungはAndroidデバイス市場でトップシェアを誇り、ローエンドからミッドレンジのスマートフォン市場で確固たる地位を築いている。だが大半の企業が支持するのは、よりハイエンドなスマートフォンだ。Samsungの発表によれば、同社は目下エンタープライズ市場での存在感を高めるべく、次世代技術、とりわけ第5世代移動通信システム(5G)対応デバイスへの注力を強めている。ただし5Gデバイスの普及はまだかなり先となりそうだ。
「5Gデバイスがエンタープライズ市場に投入されるのはまだ2~3年は先だろう。5G基地局などの通信設備が、まだ広範囲に普及するほど十分に整備されていない」とゴールド氏は語る。
Samsungの最高経営責任者(CEO)兼副会長であるクォン・オヒョン氏は2017年10月、退任の意向を明らかにした。Samsungはその後、後任となる3人の共同CEOの人事を発表。半導体部門のCEOにはキム・ギナム氏、家電部門のCEOにはキム・ヒョンソク氏、スマートフォンを含むIM(ITモバイル)部門のCEOにはコ・ドンジン氏がそれぞれ就任する。
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