AWS、Microsoft、Googleの対策は
「Meltdown」「Spectre」の脆弱性、大手クラウドサービスが格好の標的に
クラウド環境が「Meltdown」「Spectre」の脆弱性によって狙われる恐れがある。だがAWS、Microsoft、Googleは、攻撃を防ぐ対策は万全と説明している。
最近のメモリ技術に存在する最大級の脆弱(ぜいじゃく)性は、特にクラウドコンピューティングプラットフォームに暗い影を落とす恐れがある。
このほど報告された「Meltdown」「Spectre」と呼ばれる脆弱性は、IntelとAMDおよびARMのプロセッサに存在し、あらゆるサーバやデスクトップPC、スマートフォンに影響を及ぼす。中でもクラウド環境のホスティングをしている大規模データセンターのサーバ群は、最大の標的となりかねない。
この2種類の脆弱性は、IntelとAMDおよびARMのプロセッサが採用している現代のアーキテクチャに20年以上前から存在していた。こうしたプロセッサはサーバやデスクトップPCやモバイル端末に普及している。だが現実的には、個人の端末や企業のIT環境が攻撃の標的になるとは考えにくいと、J.Gold Associatesの社長兼主席アナリスト、ジャック・ゴールド氏は解説する。
「個人のPCが狙われることはないだろう。それよりデータセンターの情報を狙った方が、時間をかける価値がはるかにある」(同氏)
ゴールド氏によると、MeltdownとSpectreの脆弱性は、ユーザーが次にリクエストするコードや機能を予測するプリフェッチ機能を使ってデータと命令をメモリに読み込むコンピュータアーキテクチャを悪用する。事前のプリフェッチを迂回(うかい)して、ディスクからデータを取得すれば脆弱性は回避できるが、この追加的作業のためにパフォーマンスに支障が出る。技術的には解決の難しい問題ではないものの、引き換えにパフォーマンスが低下することを考えると、効果的な対策は難しい可能性もある。
学術論文によると、Meltdownはクラウドプロバイダーに最も深刻な影響を及ぼす。特にそのプラットフォームのゲストが完全に仮想化されていない場合、影響は大きい。多くのホスティングプロバイダーやクラウドプロバイダーは、仮想メモリのための抽象層が欠落していて、カーネルが全ゲスト間で共有されるDockerのようなコンテナを活用している。従って、Meltdownではゲスト間の分離が迂回され、他の全ゲストのデータが同じ物理ホスト上に露呈される恐れがある。
併せて読みたいお薦め記事
クラウドを狙った攻撃
クラウドサービスにおけるセキュリティ対策
クラウドプロバイダーの対応
Amazon Web Services(AWS)やMicrosoftなどの大手クラウドプロバイダーは、ユーザーを安心させようと相次いで声明を発表し、ユーザーの多くは既に保護されており、残るユーザーも間もなく保護されると説明した。
AWSは声明の中で、1桁台の割合のインスタンスを除き、「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)のインスタンスは既に保護されていて、残るインスタンスも数時間以内に対策を完了すると述べた。
Microsoftも同様に、「半導体メーカーと密接に連携して、クラウドサービスに対する緩和策の開発とテストをしている」と述べ、IntelやAMD、ARMのプロセッサを搭載したWindowsマシンのユーザーを守るため、セキュリティ更新プログラムを公開すると表明した。AWSのクラウドサービスである「Amazon Web Services」(AWS)と同様、Microsoftの「Microsoft Azure」を利用している顧客の大部分は、ハイパーバイザーレベルで脆弱性に対処する緩和策を適用しても、パフォーマンスに目に見えるような影響は出ないはずだと説明している。
Googleが打ち出した「Retpoline」と呼ばれる緩和策は、ブランチターゲット挿入攻撃を防止するもので、同社によれば、サーバのパフォーマンスには取るに足らない影響しか与えないという。
この緩和策に使われている「Kernel Page Table Isolation」(KPTI)は、メモリに保存されている情報を、同時に実行されている他のソフトウェアから守るための技術と説明されている。Googleによると、クラウドインフラを含む同社自らのワークロードでKPTIをテストした結果、同ソフトウェアがパフォーマンスを大幅に低下させるという大方の予想に反して、取るに足らない影響しか出なかったという。
一方、IBMは、エンジニアリングチームが「潜在的な影響」と解決策の見極めに当たる一方で、サービス部門やセキュリティ部門はユーザーと連携しながら、潜在的な影響を受けるシステムのアップデートを計画しているという。
同社はユーザーに対し、隣接する仮想マシンも含めて、センシティブなデータを扱う一切のシステム上で、許可されていないソフトウェアの実行を阻止することによって、まずは自らMeltdownとSpectreに対する守りを固めてほしいとアドバイスしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[Jamf Japan 合同会社] MDMだけでモバイルセキュリティは十分? 不足する対策を16項目でチェック -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的な家電メーカーが実践する「クリエイティブプロセス効率化」の方法とは? -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的テクノロジー企業に学ぶ、プロセス標準化とプロジェクト納品自動化の秘訣 -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソニー・ピクチャーズ テレビジョンに学ぶ、次世代サービスデリバリーのヒント -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソミック石川に学ぶ、ICT浸透後に直面した「工数管理」の課題と解決策
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
2
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
なぜOpenAIやAnthropicのAIは「脱走」したのか 情シスが迫られるエージェント統制
-
5
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
6
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
7
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
8
ANAが専用回線から移行した「NaaS」の全貌 ネットワーク準備が数カ月から数週間に
-
9
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
10
「プログラマー不要論」にThe Linux Foundationが示した答え
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
4
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
-
9
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
10
少額減価償却資産が40万円未満へ拡大、令和8年度税制改正で押さえるべき変更点
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー