マイクロサービスに関心を持つ企業が増えている。マイクロサービスは変化の多い環境でメリットを発揮するが、適用領域には見極めが必要だ。初心者がつまずきやすい10個の課題を挙げる。
ITでビジネスを変革するデジタルビジネスを展開する上で、ビジネス環境の変化に合わせて最適な開発手法を取り入れることは避けられない。こうした背景から、企業のアプリケーション開発手法としてマイクロサービスアーキテクチャへの関心が高まっている。マイクロサービスアーキテクチャは、多数の小規模サービス(マイクロサービス)の組み合わせでアプリケーションを構成する手法だ。
今なぜマイクロサービスアーキテクチャが注目されるのか。既存アプリケーションのマイクロサービス化を進めるに当たって注意する点はどこにあるのか。2018年3月に開催された「ガートナー エンタプライズ・アプリケーション戦略 & アプリケーション・アーキテクチャ サミット 2018」において、ガートナーリサーチのリサーチディレクターである飯島公彦氏がマイクロサービス化のヒントを語った。
ガートナーに寄せられる相談の中で、近年アプリケーションのマイクロサービス化に関する内容が増えており、特に2017年は多かったと飯島氏は説明する。「マイクロサービス化」という明示的な指定はなくても、スピーディーにアプリケーションのデリバリー(開発から配備までの一連の作業)をしたい、既存アプリケーションがビジネスの変化に追従できない、などマイクロサービス化で解決できる課題に関する相談が増えてきたという。「ビジネスを取り巻く環境がそれだけ変化していることの表れでしょう」(同氏)
デジタルビジネスのためのIT基盤(デジタルビジネスプラットフォーム)を作り、エコシステムを築こうとする機運が企業の間で高まっており、飯島氏は「グローバルでは50%の企業が2018年までにプラットフォーム戦略を重要な戦略として位置付ける」と予測する。日本国内においても先進的な企業には同様の傾向が見られるという。企業や個人からの多様な要望に素早く応えるためには、デジタルビジネスプラットフォームの構成要素であるアプリケーションを迅速にデリバリーできなければならない。さらに各アプリケーションの拡張性も確保する必要がある。こうしたニーズが広がった結果、マイクロサービス化に高い関心が集まっているのだと同氏は言う。
そもそもマイクロサービスアーキテクチャとは何か。飯島氏はその定義として次の4点を挙げる。
マイクロサービスアーキテクチャの目的は、アプリケーション開発の俊敏性を高める、デリバリーを迅速化し、拡張性を確保することにある。そのために、大きくモノリシック(一枚岩)のアプリケーションを個々に独立した小さい塊、つまりマイクロサービスに分割する。「アプローチの類似性から、SOA(サービス指向アーキテクチャ)の進化形ともいえるでしょう」(飯島氏)
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