APIはビジネスをデジタル化する“魔法”、その見つけ方とは「いいとこ取り」が基本(1/2 ページ)

ビジネスのデジタル化を考えた時、APIは重要な要素になってくる。だが、完全にビジネスに即したAPIは存在しない。APIを取り巻く環境を基に、どのように企業がAPIと向き合えばよいかを解説する。

2017年10月04日 05時00分 公開
[Sandra GittlenTechTarget]
画像 APIは組み合わせを考える

 APIを強く推し進めるNationwide Mutual Insurance Company(以下、Nationwide)は、デジタル化を同社のビジネスを実現する未来像と見ている。同社は米オハイオ州コロンバスを拠点とする2016年売り上げが430億ドルを誇る金融企業だが、同社はこの未来像を目指して、強固なAPIポータルの確立に力を注いでいる。社外の開発者はこのAPIポータルを使って、Nationwideのオンラインサービスを自社のアプリケーションに統合できるだけでなく、利用できる機能やAPIツールの操作を習得できる。

 Nationwideでエンタープライズアプリケーション部門のシニアバイスプレジデント兼CIO(最高情報責任者)を務めるマイケル・キャレル氏によると、同社は「APIファースト」を目指しているという。「全てのIT担当者は、APIの利用方法や作成方法だけでなく、APIを使ったデジタル循環系システム(デジタルエコシステム)に適用する方法を理解すべきだ」

 APIは、開発者がOSや他のアプリに正しくサービス要求するためのいわゆるプログラムのお手本、作法を定義する。APIツールは、これまで常に開発の重要な部分を担ってきた。それだけではなく最近はデジタル化への移行が市場全体で活発化しているため、規模の大小を問わず全ての企業が自社APIの公開を迫られている。その結果、企業はアプリケーションを管理し、ベンダーが決めたソフトウェアの使用法に縛られずに、自社の要件を満たすことができる。

 デジタル化では、社内開発したパッケージAPIと外部に開発を委託したパッケージAPIの両方を統合する技術が求められるという。「当社では、APIを使って、社員とパートナーにとっての価値を生み出している」とキャレル氏は話す。

 Nationwideの場合、考え方をマイクロサービスアーキテクチャに切り替えるという意味合いが強い。マイクロサービスアーキテクチャとは、機能を意味のある形に分割して開発、実装する方式を指す。そしてこのアーキテクチャを実現するのがAPIツールとなる。「当社は、APIを創造的に使用するチャンスを見極め、マイクロサービスという考え方で開発力を強化していく必要がある」と同氏は述べる。

 企業とベンダーは、APIに関して激しい駆け引きを行っている。企業は、デバイスやアプリケーションの構成と管理、既存システムとの統合がより簡単に、柔軟に実施できることを求めている。そのため、ベンダーにはAPIツールの強固なセットを提供するよう依頼する。これに対してベンダーは、企業システムに対する主導権は渡しながらも、自社APIを使って企業の開発要望を満たすことができるかどうかを把握したいと考えている。

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