イメージ展開やローカル管理者権限の適用に困難が
本格化するWindows 10移行、誰もがぶつかる4つの課題とは?
Windows10の移行に関する調査報告書が発表された。各企業の移行状況と、移行に伴う課題について紹介する。
MicrosoftグループポリシーMVPのジェレミー・モスコウィッツ氏は、「Windows 10」への移行に関する興味深い調査報告書「The 2018 State of Windows 10 Migration Challenges Report」を公表した。
この調査は米国企業を中心に、30カ国以上の500社を超える企業を対象に実施した。従業員数の内訳は、1~500人が41%、501~1000人が13%、1001~5000人が24%、5001人以上が22%。業種の内訳は、最も多いのが教育で23%、次が政府関係で13%、金融が10%、製造が9%、プロフェッショナルサービスも同じく9%、テクノロジーが8%、医療が7%、非営利が6%、コンシューマーとエネルギー&公益事業がともに5%だった。この調査報告書を見ると、企業におけるWindows 10への移行に関する現在と今後の課題が浮かび上がってくる。
併せて読みたいお薦め記事
「Windows 10移行」についてもっと詳しく
- 直前に迫るWindows 10移行、検討すべき4つの要素は
- Windows ADK、SIMなど用意 Windows 10移行を簡単にするツール4選
- Windows 10移行の落とし穴、既存ファイルと設定を引き継ぐ際の注意点とは?
「Windows 10」の基礎知識
Windows 10への移行状況
この調査では、Windows 10への移行状況を「計画中」「パイロットのみ」「移行中」「ほぼ完了」の4段階に分類している。企業規模別の移行状況は下のグラフのようになった。
移行を「ほぼ完了」した企業の割合が一番高かったのは、従業員が1~500人の小規模企業群で、42%と半分近くが移行をほぼ完了または完了済みだという。小規模企業を除くと、「計画中」の企業の割合は約25~30%にとどまった。それ以外は既に移行に着手しており、パイロットから完了までのいずれかの段階にある。モスコウィッツ氏は次のように述べる。「計画段階の企業の割合が低いのはよい兆候だ。多くの企業は、Microsoftのサポートが受けられなくなることを重大視している」
移行に伴う課題
移行の過程で企業がぶつかる問題としては以下のものがある。
- ファイルとアプリケーションの関連付け
エクスプローラーでファイルをダブルクリックしたときに起動するアプリケーションは、ファイルの拡張子や種類とアプリケーションの関連付けで決まる。Windows 10に移行すると、この関連付けの一部がこれまでと同じように動作しなくなることがある。問題が発生しているのは.pdf、.html、および関連付けられているWebファイル、マルチメディアとそのプレーヤー、「Adobe Acrobat」、基幹業務アプリケーションなどだ。個別のシステムを手動で設定し直すか、各従業員に任せている企業が驚くほど多いことが分かった。
- スタートメニューとタスクバーの標準化
スタートメニューとタスクバーを適切に設定することは、従業員の作業効率を高め、主要なアプリケーションを起動しやすい環境を用意するために必要だ。当然のことながら、回答企業の大多数は、これを移行作業の重要な項目として考えている。多くの企業でその対象となっているのは、オフィスアプリケーションやブラウザ、各種基幹業務アプリケーション、部署や担当業務専用のアプリケーションなどだ。グループポリシーの設定でこの問題を解決している企業が多い。全体として、できるかぎり自動化しようとする傾向だ。
- Windows 10イメージの展開の標準化
企業で社内にWindows 10のイメージを展開するには2〜5人の人員を要し、初期イメージの作成とテストには1人で対応する場合25~52時間がかかっている。イメージの再作成や変更を行う場合、再展開にさらに1人の対応で17~40時間が必要になる。通常、機能アップグレードや累積的更新プログラムを適用するたびにこうした再展開の必要が生じる。この作業には相当のリソース配分や経費が必要だ。イメージ展開に関連する作業としては、不要なアプリケーションの削除(79%)、セキュリティ強化(58%)、「BitLocker」の設定(45%)、プリンタの追加(43%)、その他(26%)、Hyper-Vの無効化(19%)などが挙がった。
- ローカル管理者権限の縮小や削除
企業がセキュリティを強化するには、ロールに基づくセキュリティや管理がますます重要になっている。そこで、権限の低いユーザーにローカル管理者権限を割り当てるかどうかという問題を再検討する必要がある。この調査報告書では、依然として一般ユーザーにローカル管理者権限を割り当てている企業は過半数(57%)に上り、規模の大きい企業ほどその傾向が強い。その理由はさまざまだ。ソフトウェアをインストールするため(51%)、ユーザーアカウント制御(UAC)による権限昇格を付与するため(43%)、その他(42%)、管理者レベルのスクリプトを実行するため(27%)、プリンタをインストールするため(22%)、フォントをインストールするため(9%)などがある。同報告書ではこの分野についてさらに詳しく論じている。
総評
モスコウィッツ氏のこの調査報告書は、ダウンロードして読んでみる価値がある。Windows10移行の初期段階にある企業のIT担当者には特にお勧めする。移行時によく発生する問題を事前に知ることは、迅速な問題解決に役立つだろう。報告書を入手するにはこのサイトに登録して、PolicyPak.comからのメール配信に同意する必要がある。Windows 10への移行の波はまだピークを迎えておらず、新OSに移行するためのハードウェアの買い替えはまだ当分続くだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[株式会社ラクス] どうすれば「変革を楽しむ組織」になれるのか? 事例に学ぶ、未来への一歩 -
製品レビュー
[デル・テクノロジーズ株式会社] 変化するサイバー脅威に備える、これからのストレージの選び方 -
事例
[サイボウズ株式会社] 受注約1.5倍と年間2万3000時間超の業務時間を削減、日機装に学ぶDX実践術 -
製品レビュー
[サイボウズ株式会社] 人材不足にどう挑む? ものづくり太郎が語る、製造現場でのAI活用成功の鍵 -
市場調査・トレンド
[グーグル・クラウド・ジャパン合同会社] 金融機関はAIエージェント導入でどう変わる? 7つの変化から19の事例まで解説
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
Microsoft 365侵害企業の9割はMFA導入済み 1002人調査で見えた盲点
-
2
RAGで「データをAIに送る」運用が限界を迎えている理由
-
3
いまIBM iエンジニアが直面する「5つの技術的課題」とその解決策
-
4
セキュリティ担当者“試練の1週間” 「PHP」脆弱性と認証局の失態が同時発生
-
5
PHPはそもそも必要か? 脆弱性で問われる自社サイト安全性と保守負担のバランス
-
6
SAPの負荷増に苦しむZeissが「リアルタイム分析」「安定運用」を両立させた道
-
7
「Kubernetesプラットフォーム」に関するアンケート
-
8
なぜ「Claude Code」拡張は消しても危ないのか? Cursorで不正版配信
-
9
なぜストレージ不足は長引くのか? 77%が「12〜18カ月続く」と予測
-
10
【基本情報技術者試験】データ消失リスクを防ぐ3つの「バックアップ手法」を比較
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
2
侵入から横展開まで27秒の脅威にどう立ち向かう? 防御のカギがEDRの理由
-
3
有識者が語る、中堅中小企業に求められる最新のサイバーセキュリティ対策とは
-
4
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
5
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
6
なぜAIは組織で定着しないのか? 全社展開を阻む「3つの壁」と突破のヒント
-
7
パスワードレスへの移行で失敗しないためには? 導入・運用上の注意点を解説
-
8
自社のセキュリティ対策は大丈夫? 自己診断リストで対策の優先順位が分かる
-
9
ランサムウェア攻撃“究極の対策”はこれだ
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー