知らぬ間にワークロード急増も
AWS、Azure、GoogleのIoTコストを比較 シミュレーションで分かった課金制度の差異
IoTサービスは、データストリームをエンドレスに生成する可能性がある。巨額の請求を毎月受け取らないようにするには、クラウドに送信するデータ量に注意が必要だ。
新しいテクノロジーを追究する企業は「IoT(モノのインターネット)とクラウドコンピューティングの融合」というテーマに期待を高めるだろう。だがIoTサービスの利用は大幅なコスト増を招く恐れがある。
パブリッククラウドベンダーはIoTを積極的に後押しし、自社を「IoTデバイスが収集するデータの蓄積と分析を担うハブ」と位置付けている。「Amazon Web Services」(AWS)や「Microsoft Azure」などが提供するマネージドサービスにより、IoTサービスを初めて導入するハードルは低くなっている。しかし適切にワークロードを管理しなければIoTサービスのコストは急激に上昇する。
注意が必要な従量制課金
これらのクラウドプラットフォームは、今も昔もプライベートデータセンターの安価な代替策だという認識が根強い。だがパブリッククラウド導入後にコストが上昇することは珍しい話ではない。IoTのアーキテクチャは生成するデータ量が膨大なため、従量制課金の影響を特に受けやすい。例えば工場でIoTデバイスを使用しているとしよう。ここでは気温から音響まであらゆるデータが記録される。数百に及ぶ一意のデータストリームが数ミリ秒ごとに生成される可能性がある。このような大量のデータはTB(テラバイト)単位にまで膨れ上がることもあり、それがクラウドストレージに毎日アップロードされる。
「転送、保存、分析するデータの量は無限大になり得る」と話すのは、コンサルティング会社Technology Business Researchでアナリストを務めるエズラ・ゴットヘイル氏だ。「何かを測定しようと思えばいくらでも測定できる。頻繁に測定すればデータ量は際限なく増加する」(ゴットヘイル氏)
ユーザーはネットワークコストについても考慮しなければならない。大手クラウドベンダーは、ベンダーのサービスとIoTデバイスによる通信量を基に課金する。代表的なパブリッククラウドサービスでは、課金方法がベンダーごとに異なる。
IoTのコストを洗い出して比較する予測分析
IoTサービスのコストに関して考慮する必要がある項目が、どの程度複雑で大きな規模のものか、調査会社451 Researchが解析した。同社はPythonによるシミュレーション方法を構築し、予測分析によって約1000万のIoTワークロード構成がどのくらいのコストかを判断した。その結果、リソースを事前購入している場合の大半はMicrosoft Azureの方が安価だった。AWSの場合、IoTデバイスが2万台未満の導入規模ならばコストがより安価になった。価格設定が非常に複雑なため、ベンダー間のコストを単純に比較することが難しくなっていることも明らかになった。
例えばGoogleは転送データに課金するのに対し、AWSとMicrosoft Azureは送信メッセージの数に課金する。しかもAWSとMicrosoft Azureではメッセージの扱いが異なり、これもIoTサービスのコストに影響する。
451 Researchでアナリストを務めるオーウェン・ロジャース氏によれば、この他にもユーザーが予期せぬ形で課金される場合があるという。例えばGoogleは、接続が常時稼働しているかどうかを確認するpingメッセージに課金する。このpingは64バイトにしかならないはずだが、Googleはこれらを丸めてキロバイト単位にする。従って、顧客は事実上使用していない容量に支払うことになる。
「こうした各モデルの差異は微妙であるため、利用規約に目を通してようやくそれらに気付くことになる」(ロジャース氏)
このような差異の中には、ベンダーを保護するものや、ユーザーに複雑だと思わせないためのものもある。これらはユーザーの混乱を招く可能性がある。課金体系がベンダーごとに異なるのはパブリッククラウド特有の話ではある。とはいえIoTサービスのコストに関する問題は、どのクラウドを使用するか検討中の企業に新たな課題を突きつける。基準となる過去の経験がない企業ならなおさらだ。
「何かを以前の状態と比較するにはどうするか考えてみてほしい。少なくともVM(仮想マシン)の場合、以前の専用サーバと比較することになる。だがIoTサービスは完全に新しい世界であるため、ベンダーを比較しようとしても自力ではほぼ不可能だ」(ロジャース氏)
従来型アプリケーションの構築に比べて、IoTの構築ではあまり知られていない事実が少なくない。例えばソフトウェア資産管理のコストが跳ね上がる可能性がある。IoTサービスを導入する工場やビルでは環境の不均質性が高いため、これも時間とコストに影響を及ぼす。
「開発者は環境について絶対に把握しておく必要がある。その環境に合わせたプログラミングを実行できなくてはならない」と話すのは、調査会社Gartnerでアナリストを務めるアルフォンソ・ベローサ氏だ。「例えば、工場においてはロボット、手動の機械、エアコンに関してそれぞれ異なるプロトコル、論理ルール、プロセスを設定することになるだろう」(ベローサ氏)
その上、データはかなりの早さで古くなり、場合によっては数秒使用されないだけで無用になる。企業は、データをどの程度頻繁に記録するか確実に理解して、適切な量のデータをクラウドに転送するためのポリシーを制定しなければならない。例えば、
- アクティブなストレージからコールドストレージにデータを移行させるタイミング
- これらのレコードを完全に除去するか否か
- 除去するならどのタイミングにするか
といった点をポリシーとして定める必要がある。
「データの価値はどこにあるか、またデータをどの程度の量集める必要があるかをじっくり考えなければならない。データの価値がどこにあるのかいまだによく分かっていない人は少なくない」(ベローサ氏)
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