仮想化導入でSANや高性能サーバを購入するITマネジャーたちCase Study

仮想化のメリットを最大限に生かすためには、高性能なハードウェアを新たに購入する必要があるという認識を持つITマネジャーが増えている。

2006年09月27日 07時00分 公開
[Joan Goodchild,TechTarget]

 サーバの統合と可用性の改善のために仮想化技術を利用するITマネジャーが増える中、この技術のメリットを最大限に引き出すには新しいハードウェアの購入が必要であるという認識が、彼らの間で広がっている。

 全米各地に450店舗を抱えるバッテリー小売りチェーンのバッテリーズプラスでも、そういった状況に直面している。同社では、障害発生時や定期メンテナンスの際にサイトのダウンタイムが発生するのを防ぐために、オンラインPOSアプリケーションを仮想化することに決めた。

 サーバの統合と可用性の改善のために仮想化技術を利用するITマネジャーが増える中、この技術のメリットを最大限に引き出すには新しいハードウェアの購入が必要であるという認識が、彼らの間で広がっている。

 全米各地に450店舗を抱えるバッテリー小売りチェーンのバッテリーズプラスでも、そういった状況に直面している。同社では、障害発生時や定期メンテナンスの際にサイトのダウンタイムが発生するのを防ぐために、オンラインPOSアプリケーションを仮想化することに決めた。

 同社のIT運用ディレクター、ジョッシュ・ムーア氏は、「われわれは全面的な冗長性を実現する技術を必要としていた。単一障害点が存在するのであれば、それを回避する手段が必要だと思ったのだ」と話す。

 ムーア氏によると、システム製品を手掛けるオンライン小売店CDWのコンサルティング部門に相談したところ、バッテリーズプラスが自社サイトで全面的な冗長性を実現したいのであれば、外部SAN(Storage Area Network)が必要になることが分かった。外部SANでは、何台かの物理マシンを1台のSANアレイに接続し、このアレイ上で各仮想マシンが個別ファイルとして保存される。ムーア氏は、SANとヴイエムウェアの「Vmotion」というツールを利用することにより、異なる物理サーバ間で仮想マシンを移動できるようにした。

 「SAN用に新しいハードウェアが必要になるのは分かっていた。当社の従来のサーバでは、思うように素早く切り替えることができないのも分かっていた。つまり、バックアップ用のサーバを素早く立ち上げるためには、新しいハードウェアを購入する必要があったのだ」とムーア氏は説明する。

 しかし、仮想化を実現するために新しいハードウェアを購入することが、どのような状況でも必須要件となるわけではない。特に、仮想化技術を試すための初期の検証段階では、既存のハードウェア上で同技術を運用しているIT部門も多い。

 医療機関のバプティストヘルスケアシステムズでは1998年に、IT活用戦略の一環として仮想化の利用を始めた。同社でクライアント/サーバインフラを担当するシニアマネジャーのトム・テイラー氏は当時、仮想化の利用を、既存のハードウェアを使ったテストと開発だけに限定していた。しかし同社のデータセンターで仮想化技術が果たす役割の重要性が増すのに伴い、新しいハードウェアが優先されるようになった。

 「現在、物理サーバから仮想サーバへの移行を行うときは通常、古いサーバを引退させるようにしている。可能な限り最新かつ最速のハードウェアを使いたいので、古いハードウェアを再利用したりはしない」とテイラー氏は話す。

 現在、バプティストのデータセンターでは、15台の物理サーバ上でヴイエムウェアの「ESX Server」を利用して225個のVM(仮想マシン)を運用している。物理サーバとして使用しているのは、ヒューレット・パッカードの「380」および「580」モデルで、それぞれ16Gバイトと32Gバイトのメモリを搭載する。テイラー氏は、次の仮想サーバ用マシンとして、AMDのOpteronデュアルコアCPUを搭載した4ウェイの「585」モデルを採用する計画だ。

 「当社のESXサーバは丸々と太っている。どれもメモリを最大容量まで搭載しているのだ」とテイラー氏は話す。

 プロセッサメーカーのインテルとAMDは、サーバをアップグレードすべきもう1つの理由を仮想化ユーザーに提示したいと考えている。両社が提供しているのは、仮想化性能を強化することを狙った新しいプロセッサデザインである。両社の技術は「Intel VT」および「AMD-V」と呼ばれ、仮想化プロセスをハードウェアレベルでエンコードし、各VMの特性(プロセッサ、メモリ、I/Oリソースなど)を定義する。両社によると、これにより、仮想化ソフトウェアのパフォーマンスが改善されるとしている。

 アイデアズインターナショナルの上級アナリスト、リチャード・パートリッジ氏は、「これらのプロセッサは、通常よりも早い時期にサーバを更新するという判断をユーザーに促す材料となるかもしれない」と話す。

 しかし、これらのプロセッサが優先的に購入すべきアイテムと見なされるまでには、しばらく時間がかかるだろう、と指摘するアナリストもいる。

 調査会社、ガートナーリサーチのジョン・エンク調査担当副社長は、「これらのプロセッサを過大評価するつもりはない。というのも、仮想化技術の成熟プロセスにおける1つのステップにすぎないからだ」と話す。これらのプロセッサの真のインパクトが現れるのは、第3世代のチップがリリースされるころであり、それには少なくとも3〜5年はかかるとエンク氏はみている。

 バッテリーズプラスでの仮想化技術の導入を支援したコンピュータ製品ベンダー、CDWのシステムエンジニア、ルイス・フォーラー氏も、仮想化対応プロセッサに関してはエンク氏と同意見だ。

 「これらのプロセッサがどのようなインパクトをもたらすかを予測するのは時期尚早だ。当社の顧客は現時点では、これらのプロセッサについて質問してきてはいない」とフォーラー氏は話す。

 最終的には、仮想化の普及はサーバの販売の減少につながる可能性もある。エンク氏は、仮想化によってサーバの統合化を進めれば、将来のデータセンターで必要とされる物理サーバの台数が少なくなると指摘する。

 「当初はサーバ需要が急増し、その後で下降線をたどるというパターンになりそうだ」(エンク氏)

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