EPMに多額の資金を投じたものの成果を上げられない企業は多い。ゴルフのスコアが伸びない原因はスイングの悪さだというのに、パワフルなゴルフクラブを買うようなものだ。
経営者は時に、高額なEPM(Enterprise Performance Management:企業パフォーマンス管理)ツールを購入することでプロジェクト管理の成功を金で買おうとする。しかし性急にEPMツールを買うことは、本当はゴルフスイングを直さなければならないのにパワフルなゴルフクラブを買うようなものだ。
プロセス改善を省略して購入に走ってしまう経営者がなぜこれほど多いのか。それは、プロジェクトがどう管理されているかをチェックする辛抱強さがないからだ。
われわれがプロジェクト管理を支援した企業の多くは、EPMに多額を投じたものの期待した成果を上げられず、時に事態が悪化していた。例えばある企業は高額のツールを買ったものの、それを時間管理のためにしか使わなかった。別のケースでは、プロジェクトマネジャーがベストプラクティスの研修を受けたことがなかったので、スケジュール管理作業にベストプラクティスを使わなかった。EPMツールが難し過ぎて使いこなせないと思ったプロジェクトマネジャーが、ツールを使っているふりをしながら実はデスクトップPCでMS Projectを使っていたケースもあった。
自分の組織がこの種のプロジェクト問題を抱えているなら、優れたプロジェクトがどう計画・実行されるかをプロジェクトマネジャーたちに示すべき時だ。
われわれは、3段階に分けて改善を行う相対的なアプローチを勧めている。段階的なアプローチにより、購入に走る前に自分たちの能力を評価することが可能になる。
評価を実施し、自社のプロジェクトマネジャー、プロジェクト管理プロセス、プロジェクト管理ツールについて検討する。組織の規模と複雑さによるが、この評価には4〜8週間かかるはずだ。
計画段階では、計画している行動を視覚的に示すプレゼン資料、どのような形で改善していくかを詳しく記した作業指示書、これら情報をすべて総括したエグゼクティブプレゼンテーションを提供する。ある顧客のためにこの計画フェーズを実施したところ、プロジェクト事業部の責任者は、行動をビジュアルマップに置き替えて見たことで、自分たちのチームが進むべき方向を見通す一助になったと話した。「この情報はプロジェクトマネジャーから経営者まで全員に対し、改善をどう実現させるかを分かりやすく描き出してくれた」
プロジェクト管理のベストプラクティスを使って改善プロジェクトを実施する。この段階には多大なメリットがあることをわれわれは発見した。プロジェクトマネジャーをチームメンバーおよびステークホルダーとして改善プロジェクトに参加させることで、経験豊富なプロジェクトマネジャーが正しくプロジェクトを運営するところを見てもらうことが可能になるのだ。
もし自分の組織がプロジェクト管理改善の取り組みを計画していて、EPMツールを買ったものの十分活用していないのなら、またはベストプラクティス導入前にEPMツールの購入を計画しているのなら、評価の実施を検討した方がいい。その後、人材、プロセス、そしてもちろんツールという、改善のための3要素を考慮した相対的な改善プランを作成することだ。
本稿筆者のマイケル・ビンヘ氏、ミッシェル・バーク氏は、ミネアポリスにある管理コンサルティング会社、トリセンティアルのプリンシパル。
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