発売から1年半以上たっても企業での普及が進まないWindows Vista。だが、Gartnerは「Vistaを飛ばしてはいけない」と言い切る。
「Windows Vista」はIT業界ではいまだにある種の禁句になっている。Windows Vistaの話になると、まるで政治家や税金について話しているときのようにあきれた表情になってしまう。
MicrosoftがこのOSを2007年1月にリリースしてから1年後に米Gartnerが実施した調査では、Windows Vistaは企業のデスクトップPCの約1%、ノートPCの約2.5%にしか採用されていないことが分かった。CIOやIT管理者が、悪評高いこのOSの導入を急いでいないことは明らかだった。
しかしそれからさらに半年たって、Gartnerははっきりと、「Windows Vistaを飛ばしてはいけない」と言い切った。
理由はいろいろある。アプリケーションベンダーがWindows XPのサポートを打ち切るかもしれない。2010年に登場予定のWindows 7はバグだらけかもしれない。Windows VistaかWindows 7に移行する段になってIT予算が底を突くかもしれない。
しかし米King Researchが2008年6月に実施した調査では、少なくとも移行の先延ばしを検討しているIT管理者が多かった。
この調査はシステム管理ツールメーカーがスポンサーとなって実施したもので、60%がWindows Vista導入の計画はないと回答した。回答者1162人のうち、IT管理職や管理職級のIT担当者が約90%を占めている。
92%はWindows Vista SP1がリリースされてもWindows Vista導入計画に変更はないと答え、14%は導入の決断をする前にWindows 7に関する詳しい情報を待っていると答えた。さらに14%はWindows Vistaを飛ばしてWindows 7を待つと回答。非Windows OSへの切り替えを検討したことがある回答者も半数近くに上ったが、多くは複数OSを管理する難しさに不安を持っていた。
King Researchの調査ではWindows Vistaを完全導入した組織は2%のみだったが、2007年11月の1%からは増えた。
GartnerがWidnows Vistaを飛ばしてはいけないという理由は確かに可能性ばかりだ。しかしいずれも極めて現実的であり、現実のものとなった懸念だと、Gartnerの著名アナリスト、マイケル・シルバー副社長は言う。
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