日本HPが中堅企業向けの事業継続・災害対策ソリューションをパッケージ化し、販売開始する。従来のハイエンド向けソリューションに比べ、安価に導入可能だという。
日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)は11月19日、中堅企業向けの事業継続・災害対策ソリューションを同日より販売開始すると発表した。
これまで、事業継続・災害対策ソリューションは大手企業向けのイメージが強かったが、日本HPでは今後は中堅・中小企業でもニーズが高まっていくとみる。同社 マーケティング統括本部 AIビジネス本部 宮坂美樹氏は、その理由として「法制度の整備」「企業の社会的責任、株主・ステークホルダーからの圧力」「リスクの多様化」の3点を挙げる。
現在、事業継続はISOによる国際標準化の作業が進められており、BSI(英国規格協会)が定めた規格「BS25999」をベースに2009年以降にISO規格として制定される予定。国内では既に、日本版SOX法や個人情報保護法の施行に伴う情報セキュリティ・内部統制強化の観点から、上場企業は事業継続への取り組みを求められている。また、内閣府や経済産業省からも事業継続に関するガイドラインが出されている。
企業の社会的責任という観点では、企業規模の大小を問わず、サプライチェーンの中に組み込まれた企業が事業停止に追い込まれると、結果としてサプライチェーン全体に大きな影響を与える。「2007年の新潟県中越沖地震では、リケン(自動車部品メーカー)の生産設備が被災したことにより、国内12メーカーの完成車工場が生産停止に追い込まれた。事業継続・災害対策は大企業だけでなく、サプライチェーンの一翼を担う中堅企業にとっても極めて重要な課題だ」と宮坂氏は説明する。
こうしたニーズを背景に、同社は中堅企業向けに「EVA リモートデータコピー 1TBパッケージ」「Blade+VMware SRM+EVA DRソリューション」「HP StorageWorks DR-Liteソリューション」の3つの事業継続・災害対策ソリューションを新たに販売開始する。同社はこれまで、大手顧客を中心に個別設計の事業継続・災害対策ソリューションを提供してきた。今回発売する中堅企業向けソリューションは、そうした導入実績で培ったノウハウを反映し、なおかつ同社による事前検証済みのシステム構成に限定することで、比較的安価かつ短納期で提供することが可能になったという。
EVA リモートデータコピー 1TBパッケージは、同社のミドルレンジストレージ製品「HP StorageWorks 4400 Enterprise Virtual Array」と、リモートコピーソフトウェア製品「HP StorageWorks Continuous Access EVA」を中心としたソリューション。ストレージ筐体間データコピー機能による遠隔地間のレプリケーションを比較的安価に実現する。ただし、ローカルサイトのバックアップやリモートサイトでのシステム復旧などは含まれていない。また、データ容量は1Tバイトが上限となる。
Blade+VMware SRM+EVA DRソリューションは、ヴイエムウェアが提供するVMware Site Recovery Manager(以下、VMware SRM)と連携し、災害時の仮想化環境の復旧を簡素化・自動化するもの。VMware SRM用のプラグイン「HP EVA Storage Virtualization Adapter」により、仮想化環境を構築したプライマリサイトとバックアップサイトのストレージ装置間のスムーズな連携を可能にし、障害や災害時の迅速な復旧を可能にするという。
HP StorageWorks DR-Liteソリューションは、同社のハイエンドストレージ装置「HP StorageWorks ディスクアレイ XPファミリ」上のデータを、ストレージ仮想化技術を使ってより安価なストレージ装置に複製ボリュームとしてデータコピーを行うもの。ハイエンドストレージ同士で遠隔地間データコピーを行う場合に比べ、低コストでバックアップシステムの構築・運用が可能だという。ただし、データ復旧の機能は含まれていない。
上記ソリューションのそれぞれの価格(税別)は、EVA リモートデータコピー 1TBパッケージが基本構成で3990万円から、Blade+VMware SRM+EVA DRソリューションが5629万円から、HP StorageWorks DR-Liteソリューションが個別見積もりとなっている。同社では、2009年中にこれら3つのソリューションで数十件の案件獲得を目指すとしている。
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