「トヨタを超える」ために必要なのはビジネスの俊敏性であり、それを実現するにはリーン方式を実践することが不可欠だ。
もう何年も前のことになるが、「Harvard Business Review」誌の記事に強く触発されたことがある。「Beyond Toyota -- How to root out waste and pursue perfection」(トヨタを超えて――ムダをなくし、完ぺきを目指すには)と題されたその記事には、ケンタッキー州ルイビルに本社を置くLantechという企業が、リーンな思考・ツール・手法(このケースではトヨタ生産方式を指す)を利用して業務プロセスを劇的に改善した事例が紹介されていた。
わたしはそれ以来、業務プロセス改善の取り組みや、IT部門とビジネス部門の俊敏性の改善に向けた取り組みに着手する際に、ITチームのスタッフにこの記事を最初に読ませるようにしてきた。そこに紹介された事例は、改善への意欲と反復可能な手法(この場合はリーンツール)が結び付くことによって、どんなことが可能になるかを示す好例だ。
わたしはリーン手法から、7つのムダ、そしてこれらのムダとITプロセスがどう対応しているのかを学んだ。
こうしたムダに対処すればプロセスを改善でき、ひいてはIT部門への信頼向上にもつながる。しかしムダをなくすことが成功の保証となるのだろうか。正しい方法で行っているという保証だけでなく、正しいことを行っているという確証はどこにあるのだろうか。わたしはリーン方式の限界を超えるにはどうすればいいかを考え始めた。
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