Windows 7のリリースを機に、中堅・中小企業でもPCの刷新を始めている。そこで考えたいのが、クライアントPCの管理だ。OSの機能を使うだけで「ヒト」にひも付いた管理ができるようになる。
本連載では「中堅・中小企業のためのIT投資羅針盤」と題して、毎回特定のIT活用項目を取り上げて、中堅・中小企業がそれらへ取り組む際のポイントを解説している。ここで、あらためて連載における「羅針盤」の意味を説明しておこう。
IT投資においては「目的」と「時期」をはっきりさせることが非常に大切だ。「目的」は「何のために」と言い換えられる。これには「自社の本業に寄与するため(by ITの投資)」と「ITを安全かつ効果的に活用するため(for ITの投資)」の2つがある。一方で、「時期」とは構築期、発展期、安定期といった情報システムのライフサイクル上のどこにあるかを示すものだ。海図に例えると、「目的」は「方向」、「時期」は「位置」に相当する。この「方向」と「位置」を把握するための道具が本連載のタイトルにもなっている羅針盤というわけだ。
第4回となる今回は「クライアントPC管理」について取り上げる。
まずクライアントPC自体の状況を確認しておこう。図1のグラフは、年商5億円以上500億円未満の中堅・中小企業に対して「2010年に最も重点的に投資を行う項目」をユーザー企業の年商別に尋ねた結果である。
選択肢に挙げられた項目は多岐にわたるが、どの年商帯でも「クライアントPCハードウェア」の占める比率が非常に高いことが分かる。中堅・中小企業では高いハードウェアスペックを要するWindows Vistaへのアップグレードを避け、Windows XPを使い続けてきたケースが少なくない。そしてWindows 7の登場が契機となり、2010年はそうしたユーザー企業の多くがクライアントPCのハードウェア刷新に踏み切っている年なのである。
これは羅針盤の「時期」(位置)でいえば、1つの安定期が終わり新たな構築期が始まるライフサイクルの切れ目に相当する。クライアントPCの刷新に合わせて、クライアントPC管理を見直すいい機会といえる。そこで検討してみたいのが、「OSの機能を活用したクライアントPC管理」だ。
企業のクライアントPCの多くはWindowsを採用している。そして、WindowsにはActive Directoryが備わっている。Active Directoryは認証のための仕組みと思われがちだが、実際にはクライアントPCの設定・操作に関するさまざまな制御を行うことができる。例えば、共有フォルダに誰がアクセスできて、何ができるのかをきめ細かく設定したり、各社員のクライアントPCのメニュー表示や設定項目を制限(無効化)して、余計な操作をさせなくしたりといったことが可能だ。同様の管理が行えるソフトウェア製品も数多く存在するが、Active DirectoryはWindows Server 2008などサーバ側のWindowsが稼働するPCサーバがあれば、新たなソフトウェア製品を購入せずに利用できる点も大きなメリットといえるだろう。
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