「目的(方向)」と「時期(位置)」からIT投資のノウハウ(羅針盤)を提供する本連載。今回は、コスト削減以外の投資効果が見えにくいIPテレフォニーへの投資や活用のポイントを明らかにする。
本連載は「中堅・中小企業のためのIT投資羅針盤」と題して、中堅・中小企業がIT投資を行う際のポイントについて解説する。IT投資では「目的」と「時期」をはっきりさせることが大切だ。「目的」は「何のために?」と言い換えられる。これには「自社の本業に寄与するため(by ITの投資)」と「ITを安全かつ効果的に活用するため(for ITの投資)」の2つがある。一方、「時期」とは構築期、発展期、安定期といった情報システムのライフサイクル上のどこにあるかを示すものだ。海図に例えると、「目的」は「方向」に、「時期」は「位置」に例えられる。この「方向」と「位置」を正しく把握するための道具が羅針盤というわけだ。
連載では具体的なIT投資トピックを取り上げ、羅針盤の考え方を基に効果的なIT投資・活用のポイントを明らかにしていく。第2回は「IPテレフォニーとその発展形としてのユニファイドコミュニケーション(以下、UC)」について取り上げる。
UCとは「これまで個別に提供されていた音声、テキスト、動画、データ通信などのコミュニケーション手段をIPネットワーク基盤上で統合し、TPOに応じてそれらを選択的、効果的に活用するソリューション」と定義される。IPテレフォニーはUCのベースといってもよいソリューションだ。しかし、UCは実に多様な要素を含んでいるため、上記の定義を読んでも具体的なイメージがつかみづらいだろう。そこで、まず始めに本稿で取り上げるIPテレフォニーおよびUCの構成要素を以下に整理してみることにする。
・IPテレフォニー
IPネットワーク上で音声通話を行うもの
・Web会議
離れた拠点間で音声や映像による会議やデータ共有を可能とするもの
・ボイスメール/インスタントメッセージング(IM)
音声データをメールのようにやりとりするもの(ボイスメール)および、リアルタイムで短いメッセージをやりとりするもの(IM)
・プレゼンス確認
在席状態などに応じて最適なコミュニケーション手段を選択するもの
これらをIT投資の「目的」と「時期」に応じて羅針盤にマッピングしてみると、図1のようになる。
各要素について、上図のマッピングと併せて具体的に詳しく見ていこう。
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