IPテレフォニーは将来に向けての基盤作り中堅・中小企業のためのIT投資羅針盤【第2回】

「目的(方向)」と「時期(位置)」からIT投資のノウハウ(羅針盤)を提供する本連載。今回は、コスト削減以外の投資効果が見えにくいIPテレフォニーへの投資や活用のポイントを明らかにする。

2010年09月09日 08時00分 公開
[岩上由高,ノークリサーチ]

 本連載は「中堅・中小企業のためのIT投資羅針盤」と題して、中堅・中小企業がIT投資を行う際のポイントについて解説する。IT投資では「目的」と「時期」をはっきりさせることが大切だ。「目的」は「何のために?」と言い換えられる。これには「自社の本業に寄与するため(by ITの投資)」と「ITを安全かつ効果的に活用するため(for ITの投資)」の2つがある。一方、「時期」とは構築期、発展期、安定期といった情報システムのライフサイクル上のどこにあるかを示すものだ。海図に例えると、「目的」は「方向」に、「時期」は「位置」に例えられる。この「方向」と「位置」を正しく把握するための道具が羅針盤というわけだ。

 連載では具体的なIT投資トピックを取り上げ、羅針盤の考え方を基に効果的なIT投資・活用のポイントを明らかにしていく。第2回は「IPテレフォニーとその発展形としてのユニファイドコミュニケーション(以下、UC)」について取り上げる。

構成要素の整理と羅針盤へのマッピング

 UCとは「これまで個別に提供されていた音声、テキスト、動画、データ通信などのコミュニケーション手段をIPネットワーク基盤上で統合し、TPOに応じてそれらを選択的、効果的に活用するソリューション」と定義される。IPテレフォニーはUCのベースといってもよいソリューションだ。しかし、UCは実に多様な要素を含んでいるため、上記の定義を読んでも具体的なイメージがつかみづらいだろう。そこで、まず始めに本稿で取り上げるIPテレフォニーおよびUCの構成要素を以下に整理してみることにする。

・IPテレフォニー

IPネットワーク上で音声通話を行うもの

・Web会議

離れた拠点間で音声や映像による会議やデータ共有を可能とするもの

・ボイスメール/インスタントメッセージング(IM)

音声データをメールのようにやりとりするもの(ボイスメール)および、リアルタイムで短いメッセージをやりとりするもの(IM)

・プレゼンス確認

在席状態などに応じて最適なコミュニケーション手段を選択するもの

 これらをIT投資の「目的」と「時期」に応じて羅針盤にマッピングしてみると、図1のようになる。

図1 図1 羅針盤へのUC要素マッピング

 各要素について、上図のマッピングと併せて具体的に詳しく見ていこう。

会員登録(無料)が必要です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 LRM株式会社

セキュリティ対策が取引獲得の要件に、企業が取り組むべき対策とその実践方法

サイバー攻撃から自社を守るだけでなく、取引を拡大するためにもセキュリティ対策の強化は必須の取り組みだ。その理由を確認しながら、セキュリティ対策の強化で特に重要とされる従業員教育について、必要性や実践法を解説する。

製品資料 オリックス株式会社

人材不足でDXが進まない? 中小企業でもできる“ペーパーレス化”の実現方法

ある調査によるとDXに取り組んでいる中小企業は、2割にも満たないという。中小企業がDXを実現できない理由となっているのが、人材不足だ。しかし、人材不足の中でもDXを目指して取り組めることはある。それがペーパーレス化だ。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

中小企業こそ「モバイルアプリケーション」を活用すべき7つの理由

中小企業は、モバイルアプリケーションを活用することで顧客と密接な関係を構築したり、パートナー企業との関係を維持したりできる。モバイルアプリケーションが役立つ理由を7つ紹介する。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

どんな働き方でも困らない「ノートPC」を選ぶポイントとは?

コロナ禍を経て、業務に必要な「ノートPC」の条件は変わった。どのような条件で選ぶことが望ましいのか。選定のポイントを解説する。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

中小企業が「NAS」をやめて「SAN」に移るべき好機が分かる7つの兆候

価格の低下で中堅・中小企業にとっても手の届きやすい存在になった「SAN」。「NAS」を使う中堅・中小企業が、SANへ移行する適切なタイミングを把握するために注視すべき「7つの兆候」とは。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。