仮想化は、サーバ保有台数がそれほど多くない中堅・中小企業においても、活用あるいは導入検討が着実に進んでいる。だがサーバ仮想化の用途はさまざまであり、それに合わせて導入すべき時期も異なってくる。
本連載は「中堅・中小企業のためのIT投資羅針盤」と題して、毎回特定のIT活用項目をピックアップし、中堅・中小企業がそれらへ取り組む際のポイントを解説している。IT投資では「目的」と「時期」をはっきりさせることが大切だ。「目的」は「何のために」と言い換えられる。これには「自社の本業に寄与するため(by ITの投資)」と「ITを安全かつ効果的に活用するため(for ITの投資)」の2つがある。一方、「時期」とは構築期、発展期、安定期といった情報システムのライフサイクル上のどこにあるかを示すものだ。これらを海図に例えると、「目的」は「方向」、「時期」は「位置」に相当する。この「方向」と「位置」を把握するための道具が羅針盤というわけだ。
第3回となる今回は「サーバ仮想化」について取り上げる。
サーバ仮想化についてまず押さえておきたいのが、中堅・中小企業における普及状況だ。図1のグラフは、年商5億円以上500億円未満の中堅・中小企業に対して、サーバ仮想化の活用状況を尋ねた結果である。
2009年と2010年の状況を比較すると分かるように、いずれの年商帯においても「サーバ仮想化を活用または検討中」という回答が大きく伸びていることが分かる。サーバ仮想化というと、「大企業が非常にたくさんのサーバを集約する際に用いるソリューション」と考えがちだが、実際にはサーバ台数がそれほど多くない中堅・中小企業においても活用が進みつつあるわけだ。
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