日本のクラウド技術は世界に通用するのか? 日系クラウドの現状と課題「日本のクラウドをガラパゴスにさせないために」(前編)

日本のクラウド技術やサービスが世界に進出するに当たり、ガラパゴス化を回避するための課題は何か。主要ベンダーの動きを紹介する。

2011年03月10日 11時00分 公開
[荒井亜子,TechTargetジャパン]

 日本のクラウドコンピューティング技術が日本の中だけに閉じず、世界をけん引する存在になる日は来るのだろうか。「標準化」「ベンダーロックイン防止」「(クラウド間でのデータやアプリケーションの)ポータビリティ」「技術の進化」「ユーザー主導」。これらは、日本のクラウドの優位性を世界に展開するために解決すべき大切なキーである。

 「クラウドサービスを支える高信頼・省電力ネットワーク制御技術の研究開発」受託機関は3月7日、「クラウドネットワークシンポジウム2011」を開催した。同シンポジウムは、総務省支援のプロジェクトとして実施されている、クラウドサービスを支えるネットワーク技術の委託研究開発における2010年の成果発表会である。日本のクラウドベンダーやユーザー企業の代表者が、日本のクラウド技術やサービスに関する発表とディスカッションを行った。本稿では、その中の1セッション「日本のクラウドをガラパゴスにさせないために」の模様を前・中・後編の3回に分けてお伝えする。前編では、NTTコミュニケーションズと竹中パートナーズのクラウドへの取り組みや今後の課題にフォーカスしてリポートする。

登壇者

パネリスト(50音順)

青山友紀氏 グローバルクラウド基盤連携技術フォーラム(GICTF) 会長 兼 慶應義塾大学 教授

栗原秀樹氏 NTTコミュニケーションズ ITマネジメントサービス事業部 サーバマネジメントサービス部 担当部長

鈴木逸平氏 竹中パートナーズ バイスプレジデント(ロサンゼルス) テクノロジーグループ

立久井 正和氏インターネットイニシアティブ サービス本部 プラットフォームサービス部 部長

吉岡弘隆氏 楽天 技術理事

モデレーター

加納敏行氏 NEC システムプラットフォーム研究所 所長


 本セッションのモデレーターを務めたNEC システムプラットフォーム研究所 所長の加納敏行氏は、現在の日本のクラウドおよび日本経済について次のような危惧を抱く。「独自に進化するクラウド技術やサービスを日本の中だけで成長させていくとガラパゴス化(固有種化)してしまうのではないか。日本は世界でもエコロジーとサステナビリティー(持続可能性)を実現している国ではあるが、国際への展開、国際競争力という観点ではまだ弱い面がある」

 日本のクラウド技術やサービスが世界に進出するに当たり、ガラパゴスを回避するための課題にはどういったものがあるのか。

現在の取り組みと課題

 まずはガラパゴス化を避けるヒントとして、現実にクラウドビジネスにかかわるパネリストたちの現在の取り組みと課題を紹介しよう(以下、並びは発表順)。

会員登録(無料)が必要です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 株式会社AIT

国際間の映像データ配信や拠点間での動画共有も高速で、ファイル転送の注目手法

大容量データの送受信には、通信遅延や帯域制限の課題がある。本資料では、高速で安全なデータ送信を実現できるファイル転送プラットフォームを紹介する。導入時に気になるポイントとともに、料金プランも分かりやすく解説している。

製品資料 発注ナビ株式会社

リードが商談化できない? SaaS導入のベンダー側と企業側の悩みを一掃する方法

SaaSの利用が拡大する中、ベンダー側と企業側の両方がさまざまな課題を抱えている。ベンダー側は商談につながるリードが獲得しにくいと感じており、企業側は製品の選定に困難さを感じているという。双方の課題を一掃する方法とは?

製品資料 NTTドコモビジネス株式会社

多様なデータを一元管理、次世代のコンテンツ管理基盤とは?

従来のファイルサーバで対応できない多様なデータを、効率的に管理・共有できる「全てのコンテンツ保管庫」として、クラウド型コンテンツ管理基盤にVPN接続機能を組み合わせたサービスが注目されている。その特徴をマンガ形式で紹介する。

製品資料 株式会社マヒト

3分で分かる、「名刺発注業務」を効率化するポイント

従業員の自己紹介に加えて、企業間の関係構築においても重要な役割を担う名刺だが、その発注業務は意外と手間がかかる。名刺の作成から注文まで、ミスを発生させずに効率化するにはどうすればよいのか。本資料では、その解決策を紹介する。

製品資料 株式会社MONO-X

IBM i の資産を生かし、着実にDXへとつなげるモダナイゼーションの進め方

IBM i 基幹システムを運用する企業でモダナイゼーションが喫緊の課題となる中、推進の課題も多い。そこで、「クラウド」「ノーコード開発」「API」「AI」を主軸とするIBM i ユーザー向けモダナイゼーションサービスを紹介する。

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...