モーフ・ラブズは、クラウド環境を構築するアプライアンスサーバ「mCloud」シリーズを発表。ユーザー企業の規模や用途に合わせて3製品を提供する。
クラウドコンピューティングのプラットフォームを提供する米モーフ・ラブズ(Morphlabs)は2月1日、クラウド環境の構築・管理を自動化し、仮想化されたサーバリソースをアプリケーションに自動配布するアプライアンス「mCloud」(エム・クラウド)シリーズを販売開始した。
mCloudシリーズでは、クラウド環境の管理を自動化するエンジンを搭載し、サーバ間のルーティング、バックアップ、アプリケーションサーバやデータベースサーバの設定など、環境設定を自動的に実行する。数回のクリックでクラウド環境を構築するなど、インフラリソースの増減が直感的なGUIにより簡単にできるという。
最大の特徴は、Amazon Web Service(AWS)APIと互換性のある、オープンな標準APIを採用していることだ。これにより、mCloud上で開発したアプリケーションをほかのクラウド環境に移植することが可能。オープンソースの仮想化環境/データベースサーバ/アプリケーションサーバに対応しており、既存のソフトウェアなどIT資産をmCloud上で活用することもできる。運用・監視ツールもオープンソースで、クラウド基盤構築ソフト「Eucalyptus」、サーバ監視ソフト「Nagios」、システム自動管理ソフト「Puppet」などのOSSに対応している。また、クラウド環境の構築・管理、アプリケーションディプロイメントなど、インフラ管理を自動的に行う。
今回モーフ・ラブズは、プライベートクラウドを構築するユーザー企業、データセンター事業者、SIベンダー、ハードウェアベンダー、ソフトウェアベンダーを対象に、「mCloud Server」「mCloud Controller」「mCloud On Demand」の3種類を提供する。
mCloud Serverは、企業の小・中規模のプライベートクラウド向けに、仮想サーバとその制御機能/自動管理機能などをオールインワンパッケージで提供する。システム構築の所要時間は10分程度。ハードウェアにはブレードサーバ「IBM Blade Center S」を利用する。初期リソースで仮想マシン100台を1クリックで立ち上げることができるという。
mCloud Controllerは、データセンターや大規模クラウドを対象に、クラウド環境を自動運用で実現するための制御用アプライアンス。ユーザー企業の既存サーバやAWSなどのパブリッククラウドを活用できる。
mCloud On Demandは、AWSなどのパブリッククラウドを活用し、クラウド環境を構築する。自社でクラウドリソースを保有しない中小企業が対象で、アプライアンスを購入する必要はない。
mCloudシリーズは直販ではなくパートナー経由で販売される。発売当初は、データセンター事業者のブロードバンドタワー、SIベンダーのCSKシステムズといった企業と協業する。同社 CEO ウィンストン・ダマリロ(Windton Damarillo)氏は、「モーフ・ラブズは、サービスではなく技術を提供する会社。Amazon.comのようにAWS内に顧客企業のクラウドサービスをすべてまとめるのではなく、いろいろなパートナーと協業して、1つの大きなクラウドを作ることを目指している」と説明している。
価格は、mCloud Serverが月額70万円から、mCloud Controllerが月額20万円から。mCloud Serverはスターターキットを月額10万円からの料金で販売する。同社は発売から3年間で20億円の売り上げを目指す。
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