2012年の登場が予想されている次期Windows。焦点となっているのはタブレット用Windowsのリリースと、そのユーザーインタフェースだ。2部構成記事の前編をお届けする。
米AppleのiPad、カナダのResearch In Motion(RIM)のPlayBook、米GoogleのAndroidと並び立つ競合からの圧力を感じながら、米Microsoftは躍起になってWindowsの新エディションの開発に取り組んでいる。しかし、一部のパートナー(社名は非公表)によると、Microsoftは性急にWindows 8をリリースしようとはしていないという。
MinWinとHyper-VクライアントハイパーバイザーがWindows 8で登場か?(前編)
MinWinとHyper-VクライアントハイパーバイザーがWindows 8で登場か?(後編)
Microsoft、ARMのサポートとタブレット計画でiPadに対抗
2011 International CESにおいてMicrosoftが次期バージョンのWindowsを少しばかり紹介してからというもの、Windows 8タブレットのユーザーインタフェース(UI)や実際のリリース時期についてのうわさが、とめどなく流れている。
スライドの情報と、匿名の同社パートナーからの情報を踏まえると、世間で言われているリリース予定時期は、2012年の第1〜第3四半期とかなりの幅がある。
一方ではアナリストたちは、同社に掛かる競争圧力は高まるばかりだと指摘する。米Pund-ITの主席アナリストのチャールズ・キング氏は、インタビューで「Microsoftはドッグレースで犬を走らせたければ、早急にこの犬を誕生させ、乳離れさせ、参戦できるようにする必要がある」と答えている。
しかし他方では、Microsoftは順当に事を進めていると示唆するパートナーも出てきている。エンタープライズ環境へのタブレット導入を専門とするITコンサルティング/IT開発会社の米318でテクノロジーディレクターを務めるチャールズ・エッジ氏は「318はMicrosoftともAppleともパートナー契約を結んでおり、Apple、RIM、Googleに対抗するためのタブレット用WindowsがMicrosoftからリリースされるのを非常に楽しみにしている」と話す。
エッジ氏は米TechTargetに宛てたメールで「弊社では、製品が本当に完成するまで、いくらでも待つ心づもりだ。Microsoftは、熱気あふれる市場に投入できる状態にない製品を性急にリリースしたりはしない」ことを強調している。
だが、英国在住のMicrosoft MVPであるマイク・ハルシー氏は、次期バージョンのWindowsのスケジュールは「そろばんを基に決まる」だろうと認めている。同氏は、新OSに採用される名称が何になるかはさておき、Windows 8ベースのタブレットは、米国などの学校の新年度開始に合わせて、2012年の秋にリリースされる可能性が濃厚だとインタビューで話している。
MicrosoftはCESの基調講演で次期OSの機能の一部を披露はしたものの、予定しているリリース時期についてのヒントは一切示さなかった。
米Enderle Groupの主席アナリスト、ロブ・エンダール氏は、「(基調講演から)言えることは、Windowsの新バージョンはIntelとARM SoC(システムオンチップ)の両方に対応する予定であるということだ」と、インタビューで述べている。
Microsoftは新OSのアーリービルド(6.2.7867)を使用して基調講演中にデモを行ったが、UIはWindows 7のものだった。そこで、たちまちのうちにWindows 8のUIがどうなるか、さまざまなうわさが飛び交うことになった。
CESの開催期間中に、Windowsの専門家であるポール・スロット氏は、情報源は伏せられているが、タイルベースのUI(コードネーム:Mosh)についての情報をブログに載せている。Moshは、ローエンドのWindows 8搭載タッチタブレット向けのUIといわれている。
その後、マット・ロソフ氏が、米ブログメディアのBusiness Insiderにおいて、6月に公開される予定の新しいタブレットUIのデモの話と併せて、Windows 8にWindows Phone 7のMetroインタフェース要素が使われるといううわさを報じている。
2011年3月初めには、アジアのWebサイトに、右下隅に横向きの顔写真が表示された画面のスクリーンショットがリークされたが、これはローカルまたはクラウド対応のWindows Live IDアカウントを使用してWindows 8にログインするための画面だといわれている。
また最近では、タブレットではなくハイエンドのデスクトップPCやノートPCを対象としたWindows 8のメインのUI(コードネーム:Wind)についての話も出始めている。
最終的にどうなるとしても、ARM版のWindows 8が提供されるのであれば、タッチ操作を念頭にさらに細かい調整をする必要があることについては、ほぼ異論がない。
米Directions on Microsoftのアナリスト、ロブ・サンフィリッポ氏はメールで「Windows 8には、スマートフォンやタブレットなど、ピクセルパーフェクト非対応のデバイスで使えるUIが必要だ。Windows Phone 7のUIを流用し、これを基盤に(デスクトップPC用の)フルバージョンのシェルに必要なその他の部分を開発していくことができるだろう」との見識を示している。
「iOSやAndroidに対抗するには、次期WindowsのUIは高速で直観的に使え、洗練されていて、コンシューマにとって魅力的でなければならない。また、次期バージョンの(Microsoft)Officeでも、これらの性質を踏まえて、Officeアプリケーションをより自然にタブレットやスマートフォンで使えるようにすることが期待される」
Microsoft MVPのハルシー氏は、サイズが大きくユーザーが使いやすいボタンを作成できる新しいAPIをMicrosoftは用意する必要があると指摘する。
「Windows Phone 7のUIは良くできているが、これを一回り大きいタブレットのスクリーンに移植するとなると、どの程度うまくいくかはいまだに測りかねる」とハルシー氏は話す。
Windowsのサポートスペシャリストでもある同氏の話では、意図的でないとしても、皮肉なことに、MicrosoftはOfficeにリボンインタフェースを導入したのを端緒として、実は数年前からタッチ操作に適したUI開発の地固めを始めていたという。
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