システム管理ツール選びの勘所【後編】
システム管理ツール選定時に考慮すべき点は?
システムの運用管理をサポートするシステム管理ツールの導入・運用にもまた、IT部門はコストや手間を負担しなければならない。選択したツールによってこの負担は大きく増減する。
前編「管理ツールのベンダーロックイン回避がIT部門の負担増を招く」では、ベンダーロックインを回避するためにサードパーティー製のシステム管理ツールを選択した結果、逆に負担が増えてしまう可能性やWebインタフェースのツールの問題点を指摘した。
後編では、あらためてシステム管理ツール選定時に考慮すべき事項を整理する。
基準を明確化する
システム管理ツールに対して妥当な目標を設定したら、今度は製品を選択する上での基準を検討する必要がある。まず既存のハードウェアを全てサポートすることが必須要件だが、自社のデータセンターで計画中のハードウェアロードマップとツールのロードマップが一致していることも必要だ。
次のIT更新サイクルで、異なるサーバベンダーあるいはプロセッサプラットフォームへの移行といった重要な変更を計画しているのであれば、管理ツールはその変更に対応できなくてはならない。そうでないと、面倒な(そして高いコストが掛かる)ツールアップグレードの必要性が生じるかもしれない。
もう1つの重要な基準がツールの特徴と機能だ。米TechTargetの「2010 Data Center Survey」によると、調査に回答したITプロフェッショナルの約82%が管理ツールの選択に当たっては、特徴と機能を重視すると答えている(下図参照)。
また調査の回答者は、余計な機能にはあまり関心を示さなかった。例えば、x86で標準化している企業であれば、長期的なITロードマップで計画しているのでもない限り、SPARCプロセッサをサポートするツールは必要としない。
選択基準は他にもある。回答者の51%余りが価格を主要な選択基準の1つに挙げている。統合管理スイートであるかどうかを重視すると答えたITプロフェッショナルは約22%だった。インストールと運用の容易さを重視するとした人は18%、ベンダーとのこれまでの関係が購入に際しての重要な選択基準だとした人は15%だった。
どのような判断を下すにせよ、IT管理者は候補に上ったツールの要求条件を注意深く検討しなければならない。例えば、ほとんどの管理ツールでは何らかのデータベースが必要とされるが、4ノードのSQLクラスタを必要とする管理ツールなどは、SQLの知識がない中小企業にとっては妥当な選択ではないと言えそうだ。バックエンドに対する要求が低い管理ツールであれば、連係とサポートがずっと容易になるかもしれない。
ツールベンダー自体の評価も選択基準の1つだ。ツールベンダーには、他の基盤製品の進化と緊密に連動するとともに、変化に素早く対応することが求められる。例えば、米MicrosoftがSystem Centerの新バージョンのリリースを計画していたり、米VMwareがvSphereの新バージョンを計画しているのであれば、ツールベンダーはこれらの新バージョンが出たらすぐにパッチやアップデートを提供する準備をしておくべきだ。基盤となるプラットフォームへの対応に消極的であったり、進化についていけないようなツールベンダーは市場シェアを失う恐れがある。
サードパーティー製ツールかベンダー独自のツールか
サードパーティーの管理ツールかベンダー独自のツールのどちらを選ぶかというのも、きめ細かな機能やコントロールと異種混在環境への対応という2つの要件のバランスを考慮する必要がある企業にとって難しい問題だ。一般的に言えば、ベンダー独自のツールはきめ細かな機能を提供する。またベンダー製ツールは、サーバを購入したユーザーに低価格あるいは無償で提供されることもある。
同種のプラットフォームで統一しているデータセンターの場合は一般に、ベンダー製ツールを使う方が経済的だ。一方、異種混在環境であれば、広範な製品に対応できるサードパーティー製ツールを選択した方がいいかもしれない。しかしサードパーティー製品は一般にベンダー製ツールよりも高価であり、機能の豊富さやコントロールのレベルという点では見劣りがする。
最後に考慮すべきポイントは、管理ツールの適用範囲だ。管理フレームワークはカスタマイズ性が高く、特定機能用ツールでは不可能に近い複雑なタスクに対応できる。
だが管理フレームワークは、投資、時間、労力という面で本格的なコミットメントが求められる。
「導入したアプリケーションおよびその手法を受け入れなければならないということだ」とパーカー氏は話す。「こういった製品に大きな投資をする場合は、それをワークフローに組み込むことを考える必要がある」
つまり、管理フレームワークのメリットが、その運用と管理に伴う苦労を上回るかどうかが判断の分かれ目になるということだ。
ツールのアップグレード/リプレース
システム管理ツールを選定して配備した後ものんびりできるわけではない。ツールは頻繁にアップグレードされ、企業のニーズが変化すれば全面的にリプレースしなければならないこともあるだろう。
自社のIT環境に追加した新たなサーバや機器を管理ツールが認識あるいはサポートしないこともあるだろうが、ツールのアップグレードや新しいプラグインによってそういった変更に容易に対応できる可能性がある。ソフトウェアのバグや機能的な問題などもパッチで修正可能だ。
「こういったツールを最新の状態に維持する作業は簡単でなくてはならないのだが、バージョンアップには、新しいハードウェアやソフトウェアプラットフォーム用の機能とサポートも伴うのが普通だ」とプランカー氏は指摘する。
ツールを変更する作業は、さらに厄介かもしれない。新しいプラットフォームをインストール、設定するというのは、何日も(場合によっては何週間も)かかる作業だ。新しいプラットフォームが効果的に機能するようになれば、古いツールを以前のドライバやエージェントとともにアンインストールしなければならない。新しいツールをインストールする際の最大の課題は正しく設定することだ。
多くのツールは(場合によっては徹底的に)カスタマイズして使用するが、プラグインやツールをカスタマイズする手順が分かりにくかったり難しかったりする(あるいは再現できない)場合もある。その結果、一部の機能が利用できないということもあり得る。
旧バージョンの設定を引き継ぐためのユーティリティが付属するツールであれば、移行作業もはかどるだろう。その場合でも、ラボでの十分な検証作業がアップグレードに伴う問題の特定に役立つのだ。
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