東日本大震災から1年がたち、企業の自然災害への危機意識はさらに高まったようだ。TechTargetジャパンで実施した読者調査では、震災後に実施したシステム施策や今後の危機対応姿勢が明らかになった。
TechTargetジャパンは会員を対象に「企業の災害対策」に関するアンケート調査を実施した。東日本大震災から1年がたち、企業における災害対策、BCP(事業継続計画)に対する意識はどのように変化したのか。本稿では2011年4月に行った「企業のBCP(事業継続計画)策定に関する調査」との差異を中心に、調査結果を紹介する(全ての結果を記載したリポートは、文末のリンクから会員限定でダウンロード可能)。
目的:TechTargetジャパン会員を対象に「BCP(事業継続計画)策定状況」と「災害対策のために導入予定のIT製品」を調査するため
方法:Webによるアンケート
調査対象:TechTargetジャパン会員
調査期間:2012年3月9日(金)〜26日(月)
有効回答数:254件
※回答の比率(%)は小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位まで表示しているため、比率の合計が100.0%にならない場合があります。
今回の調査では、「既存BCPに不備。拡充・改定した」は17.3%となった。一方、「既存BCPに不備。拡充・改定が必要」は2011年の41.2%に比べて2012年は27.2%と減少、「これを機にBCP策定に取り組む予定」も27.1%から21.7%へと減少している。それだけ対応を進めた企業が多いことを表していて、この1年間で企業のBCPの改定、拡充、見直しは進んだものと考えられる。
BCP策定時に対象とするリスク項目について、「地震、台風、火災などの自然災害リスク」は2011年の69.5%から79.8%へと増加している。自然災害リスクに関しては、発生の切迫性が指摘されている東海地震や首都圏直下型地震などの報道がさらに増えたことで、「いつか必ず起こる」と考えて行動を始めようとする企業が増えた証しだろう。
前項でBCPの見直しが進んでいることを示すデータを紹介したが、一方でこの1年で「関係者らの不正行為が招くコンプライアンスリスク」や「情報漏えいなどの情報セキュリティリスク」をBCP策定時のリスク項目に挙げる企業が増えていることにも注目したい。ソニーのPlayStation Networkから7000万を超える個人情報流出(関連記事:共通点・傾向は? 2011年上期の情報漏えい企業に起きたこと)、東京電力の原発事故、オリンパスの巨額損失隠し、大王製紙の巨額不正融資など、2011年は震災以外にも情報漏えいやコンプライアンスに関する事故や事件が多くあったことが影響しているだろう。
また、2011年よりも若干減少してはいるが、「サーバ停止などのITシステム障害リスク」は69.3%と依然として高い数値を示している。事業継続を考える上でITシステムは切り離すことができない状況がうかがえる。
東日本大震災以降にシステム面で実施した項目で最も多く挙げられたのは、「データのバックアップ環境構築」(21.3%)だった。次いで「従業員の安否確認手段の導入」(16.1%)、「社内サーバをデータセンターへ移設」(13.0%)となった。
今後実施予定の項目は、「システム復旧作業訓練」(21.3%)が多く挙げられた。また、「BCPのための予算確保」は20.5%となっており、「システム復旧作業訓練」に次いで2番目に多く挙げられている点にも注目したい。
本稿では紹介しきれなかったさまざまなアンケート結果とともにアンケート回答者の詳細な属性も紹介されている。ぜひ参照されたい。
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