さまざまな顔を持つ現代のCFOは経営幹部と現場リーダーの2者を満足させる必要がある。その際に有力なツールになるのがITシステムだ。CFOの声を紹介する。
「われわれは皆それぞれ、31種類のフレーバーを提供するサーティワンアイスクリームのようにならなければいけない」
下手な冗談を言っているわけではない。近年、最高財務責任者(CFO)の役割が拡大しつつあることについて、フラッシュメモリメーカーの米Spansionで財務計画および分析担当副社長を務めるラフル・マートゥル氏が実にうまい例えをしてみせたのだ。2013年8月下旬にニューヨーク市で開催されたカンファレンス「Proformative CFO Dimensions」での、パネルディスカッションにおいてだ。
企業財務の戦略的重要性が高まりつつあるということは、近年ネットでよく指摘されているが、実際、これはどういう意味なのだろうか? 1日がかりのカンファレンスで行われた各種のプレゼンテーションから判断すると、目下、企業の財務部門を取り巻く環境は激変しつつあり、CFOは2つの方向から引っ張られているようだ。CFOには、経営陣の一員としては、会社の業績拡大と成長戦略の策定でより大きな役割を担うことが期待される。一方、業務レベルでは、CFOはもっと実務的に動き、ビジネスリーダー(事業責任者)が財務データに基づき適切な行動を取れるようサポートしなければならない。
これはかなりの重責だ。だがカンファレンスでは、こうした新しい責務にどのように対処するのが効果的かについて、技術とプロセスと人の観点から、出席者は1日を通してさまざまなヒントを得たようだ。そして各スピーカーはCFOに対し、こうした責務を全て自分1人でこなそうとは思わず、チームやビジネスパートナーに頼って負担を軽減すべきであるとの考えを真っ先に伝えた。
国際消防士連合(IAFF)の財務責任者を務めるウォレン・メイ氏は、新しい予算編成報告ツールとして、IAFFが最終的にはオンプレミスの2つの選択肢ではなく、米Host Analyticsが提供するクラウドベースのソフトウェアを選んだ理由について、「価格モデルがより明確だったため」と説明する。だが、ユーザーが自らリポート機能を実行できる点も追加のメリットだったという。
「今日のCFOにとって主要な責務は、ビジネスリーダーが財務データを把握し、よりデータに基づいた決断を下せるようにすることだ」とメイ氏は強調する。ただし、こうしたデータを提供するための負担を財務部門が全て負うのは避けるべきであり、それよりも、財務責任者はテクノロジーを通して、ユーザーが自分のデータを自分で所有できるようにすべきだという。
「ユーザーに権限を与える必要がある。われわれは皆のための仕事をするのに慣れているが、それは私たちのやりたいことではない。われわれの役割は進化しており、できることは他にもある。その方が時間も有効に活用できる」とメイ氏は続ける。同氏によれば、アカウントのセキュリティ設定の範囲内ではあるが、Host Analyticsを導入して以来、今では財務部門以外のユーザーも必要に応じて予算データを入力したり、リポート機能を実行したりできるという。ユーザーには新しいリポートを要請することも奨励されている。
ただしメイ氏は、こうしたアプローチの弱点にも言及した。ユーザーの賛同を得られるかという問題だ。
「ユーザーの賛同を得やすいよう、MicrosoftのExcelスプレッドシートと似たルック&フィールを備えるシステムを希望した。ユーザーの賛同を得られれば、人々はシステムを利用するようになり、そうなれば、CFOの仕事もはるかに容易になる」と同氏は語る。
さらにメイ氏は、財務責任者は経営トップからエンドユーザーまで、あらゆるレベルで賛同を得ることを目指すべきと強調した。
後編では財務目標の策定に業務部門をどのように巻き込むかについて、CFOの考えを紹介する。
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