財務を担当するCFOと、ITを担当するCIOが抱える課題は実は似通っている。スターCFOが自身の体験から成功のための10の秘密を語った。CIOが読み取れることとは。
高いパフォーマンスを達成しているCIO(最高情報責任者)の成功の秘密は何か? 2012年11月に開催された「MIT Sloan CFO Summit」において、米国を代表するトップのCFO(最高財務責任者)たちが口々に指摘する決定的な成功要因が、CIOの成功要因と非常に似通っていることに私は感銘を受けた。
CIOとCFOは決して生来の敵同士ではなく、企業という“さや”の中に並んだ2つのエンドウ豆なのだ。彼らは急激な変化に打ちのめされ、誰も解決できそうにない複雑な状況に包囲されながら、旧来のステレオタイプの文句(口うるさい経理屋! わけ知り顔!)と戦っている。CIOやCFOは、今回のカンファレンスでも明らかだったが、業務遂行のための高度な専門知識を持っている。このスーパースターたちは、事業戦略家であり、収益源であり、そして企業リスクの第一人者だ。そして彼らは「良識の代弁者」として、会社の同僚たちに疎まれ、罵られる。
「Achieving Sustained Excellence」(優勢を持続するには)というパネルディスカッションの中で、華々しく成功したCFOたちは、それぞれの成功の背景にあるプロフェショナルとしての信条について話すように求められた。以下、彼らが挙げる10の決定的な成功要因を紹介する。
モーレイ・デューハースト氏 売上高153億ドル以上の米クリーンエネルギー会社、NextEra EnergyのCFO。マサチューセッツ工科大学(MIT)で造船技術と海洋工学の学位を、同大スローン経営大学院で経営学修士号を取得。
1. 自分の努力がどのような利益を生み、会社の価値を創造するか、明確に理解すること。「ビジネスには無限の混乱要因があり、数えきれないほど多くの興味深い投資機会がある」とデューハースト氏は語る。「そこでは簡単に道を誤ってしまう」。自分の努力がどのように会社に利益をもたらすかを知っておくことが、自分自身のリソース配分の基準になる。
2. 継続的な改善に徹底して集中し続けること。「常に改善の余地はある」と同氏。「そして改善し続けなければならない。なぜなら顧客は決して満足しないからだ」
3. 社内的な目標を基準にしないこと。パフォーマンスのベンチマークの対象は同業他社、あるいは業界外部の類似企業にすべきである。
デボラ・トーマス氏 米玩具メーカー、HasbroのCFOで、国際化戦略や買収戦略のキープレーヤー。同氏は自身の決定的な成功要因を覚えやすい3つの言葉――「マッシュルームチーム」「Mr. Potato Head」「ビル・ベリチック」にまとめている。
4. 従業員のために明かりをつけよう。そうすれば、彼らも今、自分が何をしているかが分かる。トーマス氏がHasbroの財務チームに加わったとき、チームメンバーは自分たちをマッシュルームチームという自虐的な呼び方で卑下していることを知った。会社の戦略立案や部門の目標設定においてさえ、常に「日陰の存在」であったからだ。従業員もリーダーと同じ目標によって動機付けされるべきだ。暗闇から抜け出した直後から、同氏の財務チームは一気に効率性を高め、報告書作成に要する時間が5週間から2日間に短縮したという。
5. 才能を育てよ。トーマス氏は、16歳でHasbroに入社した従業員の話を語った。その従業員は当初、Mr. Potato Headというおもちゃの製造ラインに配置されたが、Hasbroの教育プログラムを利用して学位を取得し、最新のコンピュータスキルを習得し、リーダーシップトレーニングを受け、今や国際部門を統括する優れた人材となっている。
6. 年一度の査定ではなく、継続的なコーチングとタイムリーなフィードバックを提供すること。「(米国プロフットボールリーグ、NFLの)ニューイングランド・ペイトリオッツのビル・ベリチック(ヘッドコーチ)が1シーズンに1回しかチームにフィードバックしなかったらどうなるか、想像できるだろうか?」とトーマス氏。Hasbroの指導者プログラムは、ベテランと「期待の新人」を結び付ける重要な役割を担っている。
ニコラス・ファナンダキス氏 米化学企業、DuPontのCFO。1979年入社。「1902年、DuPontは米国最大の火薬供給業者だったが、社長のユージン・デュポンが突然死去し、同社は倒産の危機に直面した。まな板の上の鯉という状態だった同社を3人の若い従兄弟たち(全員MIT卒業)が買収して、立て直した」と同氏は語る。
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