「干し草の中から針を探すような作業」を効率化
従業員による盗難防止にビッグデータ活用、そんな企業が増えている
小売業者などでは、現金や商品の盗難/紛失の問題が発生することがある。ある外食企業では、ビッグデータマイニングを活用し、この問題に対応している。
現金を日常的に取り扱う小売業者などでは、「シュリンケージ」(従業員や顧客の故意または過失によって現金や在庫が目減りすること)の問題が発生することがある。一部の企業では、この問題に対応するために、ビッグデータマイニングを活用し始めている。
ビッグデータの分析ツール導入で10倍の事案を解決可能に
カナダのオンタリオ州ミシサガに本社を置くCompass Group Canada(以下、Compass Group)は、カナダTim Hortons、米Subway、米Starbucksなどと同じく、2000店舗以上のフードサービス店を展開している。最近、同社ではシュリンケージの問題に終止符を打つため、セルフサービス型の分析エンジンを導入し、複数のデータシステムを関連付けた。このアプローチは、長時間ビデオを監視して盗難を防止する従来の対策よりも優れていると同社役員は語る。
「毎月、何百万時間もの映像が録画されている」と業務改革担当部長のハムザ・テヘラニー氏は話す。「この膨大な量の映像を全て確認するのは不可能だった。当社では、まずデータで人物の分析を行ってから、映像を調査している」
同社は、米Lavastorm Analyticsのソフトウェアを導入した。この分析エンジンで解析するのは、Compass GroupのPOSシステム、ERPシステム、勤怠管理ソフトウェア、在庫管理システムなどから集約した共通データベースのデータだ。これらの情報を精査し、データの矛盾や他の情報との相関関係を詳細に分析する。例えば、あるレジ係の勤務日に売上金が必ず20ドル不足する場合、損失防止チームは、その人物がシフトに入っているときの防犯カメラの映像を確認する必要があると判断できる。
このような相関関係は明白に思われるかもしれないが、2000以上の店舗と多数の従業員を抱えている場合、これは「干し草の中から針を探すような作業」だとテヘラニー氏は話す。Compass Groupでは、分析エンジンを導入する以前から内部監査チームを編成していた。だが、監査チームは膨大な量のスプレッドシートを手作業で処理する他なく、異常を発見したときには手遅れという場合もあった。
ビッグデータマイニングを開始してから、Compass Groupでは窃盗の疑いがある従業員を、以前よりも簡単に特定できるようになったとテヘラニー氏は話す。分析ツールの導入により、同社では同一期間で10倍の事案を解決可能になった。さらに、分析ツールで詳細な調査が必要であると特定された全事案で、従業員による窃盗を示す他の証拠が見つかっている。
テヘラニー氏によると、この成功により、分析エンジンの主なユーザーである同社の社内監査チームは自信を深めている。シュリンケージ防止の成果を上げられることに、チームの自信はますます高まっている。
「この分析アプローチの導入により、監査チームは士気を取り戻し、従業員には会社の姿勢を示すことができた」と同氏はいう。「問題を完全に解決できるとは思っていないが、軽減できるだけでも会社にとって大きな利益になる」
ビッグデータマイニングが業界標準に
Compass Groupの最高財務責任者のブレント・ムーニー氏は、損失防止目的のビッグデータマイニングが近い将来、業界標準になると予測している。特に、同社のような大企業では、日常業務の監視はほとんど行われていないと同氏は指摘する。従業員は防犯カメラの映像が定期的に確認されていないことを把握しているため、防犯カメラも大した抑止力を持たない。
Compass Groupでは、シュリンケージの金額規模から、この問題を人事部門の問題とは見なさなかった。また、分析エンジンの選定と導入をIT部門の課題とも考えなかった。同社は、社を上げてこの問題を解決する必要があると考えた。このような理由から、テヘラニー氏をリーダーとし、人事部門と法務部門の従業員から構成される損失防止チームが編成された。このチームがシュリンケージ対策に取り組んだ、とムーニー氏は話す。最終的には、問題解決に会社のデータが使えると判断し、このソフトウェアを選択するに至った。
「当社では、この問題をIT部門の問題ではなく会社の問題と考えている」とムーニー氏は話している。
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